昭和の頃の話で恐縮だが、中学校の文化祭で「となりのトトロ」を鑑賞するイベントがあった時のことだ。 凶悪教師として知られる生徒指導のカネヤマが、メイが無事発見されるシーンで突然ボロボロと泣き始めてしまうというハプニングが起きたことがある。 ご存知のように「となりのトトロ」は、お化けのトトロと幼い姉妹の交流を描く、ノスタルジックで心温まる物語である。 感動するのはもちろん分かるのだが、しかしカネヤマの泣き方は尋常ではなかった。 若い世代には想像もつかないかも知れないが、昭和の生徒指導の教師といえば完全に治外法権のチンピラだ。 竹刀を振り回しながら生徒を威嚇するのが当たり前で、カネヤマもまた、 「お前ら、よく聞け。俺は合気道で黒帯なんやぞ」 「俺に技を使わせるなよ?道場から止められてるんや!」 と、生徒を脅し黙らせるのが常套手段だった。 そんな驚きの鬼の涙に、一人の生徒が恐る恐るカネヤマに質問す