『シン・エヴァ劇場版』の高クオリティを実現した、庵野秀明の巧みな経営戦略 スタッフに利益が還元されるシステム エヴァの成功がもたらした「危機」 庵野が会社を立ち上げようと考えたのは、2005年秋頃。「株式会社カラー 10周年記念冊子」への寄稿文で、法務や事務の面で株式会社カラーの設立に協力した日本テレビの高橋望が、11月後半にスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーから、「庵野が会社を作るので手伝うように」との電話があったと記している。 後にダイヤモンド・オンラインへの庵野自身の寄稿で明かされたが、先のテレビシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』(1995~96年)および同シリーズの旧劇場版(1997、98年)のヒットにより、当時庵野が所属していた株式会社ガイナックスは多大な利益を得たという。しかし、それに依存した安易な企画進行や社員間の給与格差などが横行する放漫な経営状態にあった。 そこで庵野