シノドスで社会学者の筒井淳也氏が少子化の原因を、女性が結婚しようにも(安定した将来を期待できる)相手がいないために婚姻率が低下したためだと主張している。男性の所得で家計を支えようとする社会制度と、近年の男性の経済状態の悪化を理由にしたいらしいが、マクロ統計と数字があわない。 女性の社会進出による養育と仕事の両立が可能になって来ていると言う指摘は、第4回全国家庭動向調査によると出産後の再就業率が74.6%に達するので異論は無い。未婚率が1970年代から上昇しているのは確かだ(図録▽未婚率の推移)。日本の特殊出生率はオイルショック後の1970年代後半から低下傾向が始まるのも確かだ(内閣府)。しかし、非正規雇用が急激に増えたのは2002年以降で、未婚率の上昇と特殊出生率の低下とは時期があわない。 統計から考えると、筒井氏の主張は受け入れ難い。『この事実は山田昌弘氏を含む一部論者のあいだでは意識さ