押谷 仁(おしたに・ひとし)東北大学大学院医学系研究科教授。 Credit: HITOSHI OSHITANI 日本では、COVID-19の6度の流行の波を通じて、人口当たりの患者数および死亡者数が、他のG7諸国と比較して著しく低くなっている。世界一高齢化が進んでおり、さらに人口が密集しているにもかかわらずだ。確かに日本は、ワクチン接種率が(特に高齢者で)高く、マスク着用が当たり前になっている。しかし、どちらも完全な説明にはなっていない。ワクチンができる前から死亡者数は少なかったし、マスク着用はアジア全体で一般的なことだ。 日本は、この病気の広がりとリスクを理解し、その知識を使って、社会的・経済的活動を維持しながら、死亡や入院を最小限に抑えようとしてきた。これらの要因間のバランスを取ることは難しい。おそらく強い社会的圧力が、マスク着用などの防護策を後押しし、リスクの高い行動を最小限に抑える