中国の偵察気球を米軍の戦闘機が米国の空域で撃墜した数時間後、中国外務省は「強烈な不満と抗議」を表明し「必要ならさらなる対応をとる権利を留保する」と対抗措置をほのめかした。気球については「民間用のもので不可抗力によって米国に進入した」とあらためて説明し、撃墜は「明らかな過剰反応であり、国際慣例の重大な違反だ」とも主張した。 しらじらしい言い分だと言わざるを得ない。なぜなら、各国がかねて自国の領空を通過する気球について事前に許可を得るよう求めてきたことを中国は知っているはずだし、過去に他国の空域に入った米国の民間用気球が他国で強制着陸させられたり、撃墜されたりした例があることも知っているはずだからだ。 気球の上空通過を認めてこなかった中国 そもそも、中国自体も長年、気球が自国の領空を通過することを認めず「不可抗力による進入」という主張も受け入れてこなかった歴史がある。 1990年代末、西側諸国