『世界』の4月号に掲載されている田村哲樹氏の「国家への信頼、社会における連帯――「高福祉高負担」の条件 ―― 」という論文が、福祉国家を支える哲学的基盤は何なのかという大問題の所在を極めて明瞭に示しているので、ちょっとコメントしておきます。 http://www.iwanami.co.jp/sekai/index.html 福祉国家を支える「我々意識」や「連帯」が衰退ないし解体しつつあるという認識のもとで、田村氏は4つの対応策を示します。第1は、個人化を所与の前提として個人の選択、ニーズに可能な限り応えていく行政サービス。しかしこれはもはや福祉国家ではないですね。第2は、ナショナリティの再興。第3は労働を共通性とした連帯の再生。第4がより普遍主義的な福祉制度。 そして、ナショナリティには排除がつきまとうから駄目だといい、労働については、男性稼ぎ手モデルではだめだとか、今後十分な雇用機会は供