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書評に関するnamawakariのブックマーク (638)

  • 2023年の三冊

    (bib.deltographos.com 2023/12/28) 年末ともなると、「今年の三冊」「今年の五冊」みたいな、年間まとめ企画が新聞や雑誌を賑わせますよね。今まで、ランキングはあまり意味ないかもと軽視していたのですが、最近、自分用にまとめておくのも悪くないかなと思うようになりました。目がしょぼくなり、読書量も大幅に減ったりして、逆にそういう「厳選」みたいなものに価値を見いだすようになってきたようです。人さまが選んだリストも興味深く思えてきましたし、個人的にも年間まとめを記しておくのもいいかな、と。 というわけで、まとめておきましょう。個人的に、今年読んだものでとりわけ印象的だったのは、次の三冊になります(ジャンルや出版年度などは無視することにします)。 グレゴワール・シャマユー『統治不能社会』(信友建志訳、明石書店、2022) ローラン・ビネ『HHhH』(高橋啓訳、東京創元社、文

    2023年の三冊
  • 『ニッポン政界語読本 単語編』『会話編』『公務員の議会答弁言いかえフレーズ』 - 紙屋研究所

    政治家や役人が使う言葉の異常さ・奇妙さは、日々SNSで指摘され、ネタにされている。中には「ご飯論法」のように、公式の答弁としての基礎を破壊してしまうような重大性を抱えている言葉の使い方さえある。 書はイアン・アーシーという、一見すると「ずいぶん怪しい名前」(p.3)だが、「正真正銘のへんな外人」(同前)として実在するカナダのフリー翻訳家が書いた、日の政界にはびこる特殊な単語・会話を取り上げて、それを理解し、うまく使いこなすためのである。練習問題までちゃんとついているワークブックなのだ。 ニッポン政界語読【会話編】 作者:イアン・アーシー 太郎次郎社エディタス Amazon ニッポン政界語読【単語編】 作者:イアン・アーシー 太郎次郎社エディタス Amazon ぼくが読んで「なるほど」と思ったのは、『単語編』の冒頭にある「原則として」と「総合的に」である。 まず「原則として」。東京

    『ニッポン政界語読本 単語編』『会話編』『公務員の議会答弁言いかえフレーズ』 - 紙屋研究所
    namawakari
    namawakari 2024/01/31
    なるほどねえ、などと思いつつ、ふざけた表現が大手を振ってまかり通っていることに怒りがわいてくる。
  • 2023年の本 - Valdegamas侯日録

    例年通り新刊の振りかえりである。毎年、書き出しは色々と言い訳を書き連ねるのがならいであるが、2023年は公私ともに色々落ち着かず、読書への差し支えが顕著にあった。評判となったで買いはしたが読めなかったというも少なくない。諸般の状況を勘案し、今回は例年よりを絞り込んで取り上げることとした。 ■日政治・外交 境家史郎『戦後日政治史―占領期から「ネオ55年体制」まで』(中央公論新社[中公新書]) 中山俊宏『理念の国がきしむとき―オバマ・トランプバイデンアメリカ』(千倉書房) 竹内桂『三木武夫と戦後政治』(吉田書店) 『戦後日政治史』は副題通り、約80年の戦後政治史を300頁余りで描ききったもの。著者自身が断わるように、戦後政治理解の「筋書」を読者が得ることを目的としたで、簡潔で要を得た新書らしい新書という内容となっている。とはいえその記述は無味乾燥どころか特色を明確に持つ。5

    2023年の本 - Valdegamas侯日録
  • 今年の10冊 - 労務屋ブログ(旧「吐息の日々」)

    某財閥系シンクタンクの案件で年末締切の報告書原稿があって少々難儀していたのですがなんとか無事入稿しました。分担執筆なので年明けに泊まり込みで袋叩きにあう予定なのですがとりあえず一息。ということで年末恒例のこれを。例によって1著者1冊・著者五十音順です。 上野善久『成熟産業の連続M&A戦略:ロールアップ型産業再編の手引き』 成熟産業の連続M&A戦略 作者:上野善久中央経済社Amazon書評はこちらです。 上野善久『成熟産業の連続M&A戦略』書評 - 労務屋ブログ(旧「吐息の日々」) 梅崎修・南雲智映・島西智輝『日型雇用システムをつくる1945-1995ーオーラルヒストリーによる接近』 日的雇用システムをつくる 1945-1995: オーラルヒストリーによる接近 作者:梅崎 修,南雲 智映,島西 智輝東京大学出版会Amazonご紹介はこちらにあります。 梅崎修・南雲智映・島西智輝『日型雇

    今年の10冊 - 労務屋ブログ(旧「吐息の日々」)
  • 「みすず書房「読書アンケート」用セレクション5冊(2023年)」 - leeswijzer: een nieuwe leeszaal van dagboek

    みすず書房毎年恒例の「読書アンケート」は、掲載誌『月刊みすず』が昨年から休刊となったあとは書籍:みすず書房編集部(編)『読書アンケート2023:識者が選んだ、この一年の』(2024年2月刊行予定、みすず書房、東京, 体価格800円, ISBN:978-4-622-09689-4 → 版元ページ)として存続する.ワタクシの今年の選書は下記の5冊だ. 今年の5冊【書名】『東京焼盡』 【著者】内田百閒 【刊行】1955年4月20日 【出版】大日雄辯會講談社 【ISBN】なし 【目次】https://leeswijzer.hatenadiary.com/entry/2023/12/20/071649 【書評】https://leeswijzer.hatenadiary.com/entry/2021/07/01/060537 https://leeswijzer.hatenadiary.com

    「みすず書房「読書アンケート」用セレクション5冊(2023年)」 - leeswijzer: een nieuwe leeszaal van dagboek
  • 2023年の本 - 西東京日記 IN はてな

    今年は読むペースはまあまあだったのですが、ブログが書けなかった…。 基的に新刊で買ったの感想はすべてブログに書くようにしていたのですが、今年は植杉威一郎『中小企業金融の経済学』(日BP)、川島真・小嶋華津子編『習近平の中国』(東京大学出版会)、ウィリアム・ノードハウス『グリーン経済学』(みすず書房)、リチャード・カッツ、ピーター・メア『カルテル化する政党』(勁草書房)、黒田俊雄『王法と仏法』(法蔵館文庫)といったは読んだにもかかわらず、ブログで感想を書くことができませんでした…。 このうち、植杉威一郎『中小企業金融の経済学』はけっこう面白かったので、どこかでメモ的なものでもいいので書いておきたいところですね。 この1つの原因は、秋以降、ピケティ『資とイデオロギー』という巨大なスケールのを読んでいたせいですが、それだけの価値はありました。 というわけで、最初に小説以外のを読んだ

    2023年の本 - 西東京日記 IN はてな
  • 今年の10冊 - 備忘録

    恒例のエントリーです。稿では今年出版された書籍ではなく、前年の同エントリー以降に読んだ書籍の中から10冊を取り上げます。以下、順不同で。 オリヴィエ・ブランシャール(田代毅訳)『21世紀の財政政策 低金利・高債務下の正しい経済戦略』 21世紀の財政政策 低金利・高債務下の正しい経済戦略 (日経済新聞出版) 作者:オリヴィエ・ブランシャール日経BPAmazon traindusoir.hatenablog.jp r-g<0が中長期的に継続する可能性が書の肝。そのため、これまでのマクロ経済学の「定型的事実」に対する異論が並べられる。使用される知識は、ローマー『上級マクロ経済学』であれば第2章までのラムゼイモデルと世代重複モデル。 大塚啓二郎、黒崎卓、澤田康幸、園部哲史(編著)『次世代の実証経済学』 次世代の実証経済学 作者:大塚 啓二郎,黒崎 卓,澤田 康幸,園部 哲史日評論社Amaz

    今年の10冊 - 備忘録
  • 東浩紀『訂正可能性の哲学』|KIRA Takayuki

    つい昨日に発売された、東浩紀『訂正可能性の哲学』(ゲンロン、2023年8月)と『観光客の哲学 増補版』(ゲンロン、2023年6月)を読んだ。 私はこの著者のよい読者ではない。『訂正可能性の哲学』もよいだと思えなかった。ルソー、プラトン、ポパー、ウィトゲンシュタイン、アーレント……といった有名な哲学者の代表作をいきなり読んで(つまり近年の研究などはほとんど参照せず)、過度に単純化しながら連想ゲームで「ゆるいつながり」を作っていく。確かに読みやすいし、なるほどこういうふうに読ませるものかと感心させる部分はある。しかしそれは哲学的には意味のないレトリックを超えるものでない。もちろん一般向けの著作だから細かい解釈でどうこう言わずとも、何かオリジナルなアイデアが展開されていればそれでよいのだが、今回は「訂正可能性」という言葉でなんでもつなげている(たとえば第一部の鍵となる「家族」という言葉だが、こ

    東浩紀『訂正可能性の哲学』|KIRA Takayuki
    namawakari
    namawakari 2023/09/09
    撫で斬り。でも的確。
  • 書評 「進化が同性愛を用意した」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    進化が同性愛を用意した: ジェンダーの生物学 作者:坂口 菊恵創元社Amazon 書は進化心理学者坂口菊恵による同性愛を扱った一冊.坂口は進化心理学的に性淘汰産物としてのヒトの行動性差,個人差について探究し,その後その至近要因にも踏み込んで内分泌行動の研究も行ってきた研究者だ.単著としてはナンパや痴漢のされやすさの個人差に関する「ナンパを科学する」に続く2冊目ということになる. 書は同性愛を科学的に考察するものだが,まず同性愛行動そのものが複雑で多層的な側面を持つこと,またラディカルなフェミニズムや社会正義運動の吹き荒れる昨今,同性愛はなかなか社会的に微妙なテーマとなっていること,さらに(環境要因として)同性愛の社会史や文化史まで視野に入れていることから,かなり複雑で込み入った構成となっている. Part 1 同性愛でいっぱいの地球 第1章では動物界に同性愛行動がありふれていることが強

    書評 「進化が同性愛を用意した」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  • 室井光広『おどるでく 猫又伝奇集』 - Close To The Wall

    おどるでく-又伝奇集 (中公文庫 む 33-1) 作者:室井 光広中央公論新社Amazon初期小説集二冊に未収録短篇やインタビューなどを増補した著者初の文庫。著者の故郷南会津を「又」と呼ぶ一連の作品は「又拾遺」の土俗的奇譚・幻想譚から始まり、方言、外国語、外国人など言語の土俗性とその外とが交錯する「翻訳」の主題が貫かれているように読める。短い奇譚を集めたかたちの中篇「又拾遺」を見返してみたら最後の「魂柱」が、在日外国人が一度母国語で書いたものを日語にしたという翻訳を介した手紙だとされていて、マラルメの翻訳の引用で終わるこの「又拾遺」の結句から「和らげ」まで、「翻訳」という問いが通底している。 どうも読んでいると著者は「言語」とは「翻訳」なのではないか、「翻訳」が言葉、言語の質をなすものだと思っているのではないかという気がしてきた。方言と外国語、ローカルと世界、固有性と普遍性

    室井光広『おどるでく 猫又伝奇集』 - Close To The Wall
  • 朴沙羅「誰がこんな仕組みを作ってしまったのか」――李英美著『出入国管理の社会史』書評

    2023年6月9日、出入国管理及び難民認定法の改正案が参議院会議で可決された。この改正案は在留特別許可申請手続の新設、被収容者の処遇に関する手続規定の整備、収容に代わる監理措置制度の創設、難民申請者に対する送還停止の効力の一部解除、難民に準じた者の補完的保護制度の創設、送還に応じなかった者に対する刑事罰を含む退去命令制度の創設などの内容を含んでおり、移住者と連帯する全国ネットワークや日弁護士会といった団体や個々人が、全国各地で反対を表明していた。 誰がこんな仕組みを作ってしまったのだろう。なぜこの法が成立することを、私たちは止められなかったのだろう。そのような疑問に突き動かされた人に、私は書を強く勧める。 書は、「第二次世界大戦後の冷戦と脱植民地化という国際環境のもとで形成された日の出入国管理政策が、とりわけ地域社会においてどのようなかたちで執行され、国民・国籍・人の移動をめぐる

    朴沙羅「誰がこんな仕組みを作ってしまったのか」――李英美著『出入国管理の社会史』書評
  • 書評 「招かれた天敵」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    招かれた天敵――生物多様性が生んだ夢と罠 作者:千葉聡みすず書房Amazon 書は進化生物学者千葉聡による天敵を利用した生物的防除の歴史を扱う大作.千葉は「歌うカタツムリ」でカタツムリを題材に淘汰と浮動の進化観をめぐる壮大な進化学説史を語ってくれたが,書では生物的防除の成功と失敗の歴史を滔々と語り,そのストーリーテラーの才能をまたも披露してくれている. 序章にあたる「はじめに」では,「自然」という著しく複雑で多様な系に対して科学の手法であるモデル化で対応することの限界とリスクが指摘され,より良い解決を望むなら歴史を知ることが有益ではないかと示唆されている.書は有害生物防除についての歴史を知るために書かれているのだ. 第1章 救世主と悪魔 冒頭はレイチェル・カーソンの「沈黙の春」から始まる. 1939年に殺虫効果が発見されたDDTは人体への危険がほとんどないと認識され,マラリア撲滅の切

    書評 「招かれた天敵」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  • 鈴木『なめらかな社会とその敵』ヒース『ルールに従う』:社会の背後にある細かい仕組みへの無配慮/配慮について、あるいはツイッターでなめ敵とかいって喜んでる連中はしょせんファシズム翼賛予備軍でしかないこと - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    なめらかな社会とその敵 作者:鈴木 健発売日: 2013/01/28メディア: 単行 未来のための社会像? 『なめらかな社会とその敵』の想定読者は三百年後の未来人。そこからすれば評者は未開の土人だ。しかしその未開人にも、謙虚な筆致に隠れた著者の熱意と意気込みはわかる。新しい通貨システムの案出など、ジョン・ローの不換紙幣やデヴィッド・チャウムの電子通貨以来かもしれない。しかもその射程はそもそもお金の意味すら変え、社会自体の変革を夢見る遠大なものだ。 著者は、題名通りのなめらかな社会を夢見る。人々の有機的なつながりがたもたれ、様々な関係性の途切れない世界。現代のお金による取引はそれを荒っぽく分断する。投票も一かゼロかの粗雑な選択を迫る。だが、インターネットを使えば、お金も投票もまったくちがった形態を持ち得る。関係性を保ち、様々な評価のフィードバックもある通貨システムもできる。粗雑でない細やか

    鈴木『なめらかな社会とその敵』ヒース『ルールに従う』:社会の背後にある細かい仕組みへの無配慮/配慮について、あるいはツイッターでなめ敵とかいって喜んでる連中はしょせんファシズム翼賛予備軍でしかないこと - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    namawakari
    namawakari 2023/04/08
    “その粗雑さをなくすこと自体にひそむ危険性”この辺はさすがに鋭い。近代の労働搾取の矛盾を解消しようとして別種の矛盾のうちに敗れた共産主義の失敗を忘れてはいけない。
  • 選挙・政治学教科書 - sunaharayのブログ

    3月末でようやく2年間の管理職業務も一応終わり。最後だし3月に入ったらまとまった時間もできるかと思っていたけどやや甘かった。やっぱり大学での業務があるということになるとどうしても時間がとられることになる。そして今年は統一地方選挙の年なので、4年に1度の取材が多い年…。 それはともかく、このところの紹介が滞っているのですが、少し以前にいただいたものをまとめてご紹介します。まず中京大学の松谷満先生に『ポピュリズムの政治社会学』をいただいておりました。橋下徹・河村たかし・小泉純一郎という「ポピュリスト政治家」として考えられる政治家を誰が支持しているのかという問題を議論するものです。分析としては、支持者の階層的な特徴は見られず、不安や不満といった心理的要因の影響もなく、新自由主義や政治不信も共通要因ではない、というよく聞く「ポピュリズム」論で強調されがちな議論を否定しつつ、支持者側のポピュリズム

    選挙・政治学教科書 - sunaharayのブログ
    namawakari
    namawakari 2023/04/05
    “共通する要因として、階層や意識ではなく、ポピュリスト態度に示されるような民意を速やかに実行してほしいという「様式」が重要であるという見方が示されるものになっています”
  • 2022年の本 - 西東京日記 IN はてな

    気がつけば今年もあと僅か。というわけで恒例の今年のです。 今年は小説に関しては、朝早起きしなくちゃならない日が多かったので寝る前に読めず+あんまり当たりを引けずで、ほとんど紹介できないですが、それ以外のに関しては面白いものを読めたと思います。 例年は小説には順位をつけているのですが、今年はつけるほど読まなかったこともあり、小説小説以外も読んだ順で並べています。 ちなみに2022年の新書については別ブログにまとめてあります。 blog.livedoor.jp 小説以外の 筒井淳也『社会学』 「役に立つ/立たない」の次元で考えると、自然科学に比べて社会科学は分が悪いかもしれませんし、社会科学の中でも、さまざまなナッジを駆使する行動経済学や、あるいは政策効果を測ることのできる因果推論に比べると、社会学は「役に立たない」かもしれませんが、「それでも社会学にはどんな意味があるの?」という問題

    2022年の本 - 西東京日記 IN はてな
  • 2022年に読んだ本と今年の仕事 - Close To The Wall

    例年通りベスト10的なものを。今年は自著刊行の作業もあって読んだが少なかった。 サルマン・ラシュディ『真夜中の子供たち』 M・ジョン・ハリスン『ヴィリコニウム パステル都市の物語』 シュテファン・ツヴァイク『過去への旅 チェス奇譚』 パーヴェル・ペッペルシテイン『地獄の裏切り者』 アレホ・カルペンティエール『時との戦い』 ヴォルフガング・ヒルデスハイマー『詐欺師の楽園』 ヴァーツラフ・ハヴェル『通達・謁見』 R・A・ラファティ『とうもろこし倉の幽霊』 岡和田晃編『いかに終わるか 山野浩一発掘小説集』 津原泰水『11 eleven』 ライター仕事 サルマン・ラシュディ『真夜中の子供たち』 真夜中の子供たち(上) (岩波文庫) 作者:サルマン・ラシュディ岩波書店Amazon1947年8月15日インド独立の真夜中零時に生まれた特殊な力を持つ子供達の一人、サリーム・シナイが自らの生涯を語ることが

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  • 2022年の本 - Valdegamas侯日録

    年末に一年を振り返り、どんな新刊を読み、何がおもしろかったかを投稿するだけとなって久しいブログだが、例年通りその投稿をする。 今年は少し読書の方法や時間の取り方が変わり、関心のあるをきちんと読む時間を比較的確保できた(とはいえリストのとおり、読めなかったも多い)。また昨年取り上げたが多くなりすぎてしまったという反省もあったことから、今年はこれらの点に留意して紹介を行うこととした。 基的に自分の場合、その時々の関心の束に合わせてまとめていくつかのを読むことが多い。これを反映して便宜的に「日政治」「基地問題」「外交史・政治史」「国際政治・比較政治」「回想録・伝記研究」という塊として、印象に残ったを紹介することとしたい。 ■日政治 ■基地問題 ■外交史・政治史 ■国際政治・比較政治 ■回想録・伝記研究 ■復刊 ■おわりに ■日政治 アジア・パシフィック・イニシアティブ編『

    2022年の本 - Valdegamas侯日録
  • 女の本屋 > 第2次大戦捕虜の連鎖する痛み ちづこのブログNo.154

    痛いである。著者の中尾知代さんが日軍のイギリス人を中心とした連合軍捕虜について長く聴き取り調査をしていることは知っていた。それがどんなつらい苛酷な経験であるかも、想像がついた。取材を申しこんでも拒絶、憎悪、怒りを向けられ、相手の悲嘆や苦悩、混乱に立ち合う。 それに耐えて得られた800時間にわたるオーラル・ヒストリーのデータの背後には、責められ、試された末にようやくたどりついたラポール(信頼関係)に至るまでの気の遠くなる時間がある。 書は2008年に刊行される予定だった。それが2022年まで14年も延びた理由には、ご人の病気や家族の不幸などが重なった。1960年生まれの中尾さんは60歳を超した。もし書が刊行されなかったとしたら、中尾さんの身体に蓄積した膨大な記憶は日の目を見ることがなかっただろう。書にはそのすべてが書かれているわけではない。淡々と抑制された筆致の亀裂から、中尾さん

    女の本屋 > 第2次大戦捕虜の連鎖する痛み ちづこのブログNo.154
  • これぞ「ノンフィクション」の醍醐味 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    いろいろな反動で、ここのところちょっとぼんやり気味で過ごす日も多かったのだが、Number最新号の特集と、そこから引っ張られての「ノンフィクション2冊比べ読み」は最高の知的刺激になった。 Number(ナンバー)1058・1059合併号[雑誌] 文藝春秋Amazon 雑誌の方では、「似て非なる名将」ということで、これまであまり比較されることのなかった落合博満・元中日監督と故・野村克也氏が、現役時代や監督時代はもちろん、プロ入り前のエピソードから雌伏の時を過ごした”評論家”時代まで様々なエピソードとともに比較されていて、それはそれで興味深いのだが、この二人が並べられて論じられるのもここ一年の間に両者を取り上げるノンフィクション作品が売れたから・・・ということで、ここは”原典”に当たらなければ始まらない。 まずは「落合博満」から。 嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか 作者:鈴木 忠

    これぞ「ノンフィクション」の醍醐味 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 「ふつうの自治体」の熱意が生んだ「すごい困窮者支援」 :白波瀬達也 | ブックハンティング | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト

    書は困窮者支援をテーマにしたルポだ。困窮者の生きづらさを取り上げたは割と多いが、書は支援者に肉薄している点がユニークだ。そもそも困窮者支援と聞いて、その対象者をイメージできるだろうか。「困窮者とは生活保護を利用する人々だ」と考える人が多いかもしれない。しかし、この制度に包摂されていない困窮者は少なくない。長期間引きこもっているため親亡き後の生活が見通せない者、幼い子どもを抱える一人親など、困窮の背景は様々だ。また、障がいがあっても障がい者福祉制度に包摂されないケースがある。軽度障がい者やグレーゾーンと呼ばれる人々が典型だ。このように「制度の狭間」でもがく人々は存外に多い。こうした人々に社会はどう対応すればいいのか。書はそのヒントを座間市の取り組みに見出す。 座間市は神奈川県の中央部に位置する。交通の便が良く、高度経済成長期に東京や横浜のベッドタウンとして発展した。同市の生活保護率は

    「ふつうの自治体」の熱意が生んだ「すごい困窮者支援」 :白波瀬達也 | ブックハンティング | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト