収益を大幅拡大させた経営方針が、死者107人を出す尼崎JR脱線事故を引き起こしたのか‐。高速大量輸送網を整え、私鉄との競争を圧勝に導いた井手正敬元会長(74)らJR西日本の歴代トップ3人に、神戸第1検察審査会は26日、「起訴議決」を下した。“井手商会”と評された経営手腕と事故との因果関係が、法廷の場で問われる。 井手氏は国鉄で民営化を担う総裁室長を務め、1987年のJR西発足後は、副社長として実質的に経営を仕切った。92に社長就任。さらに会長として2003年まで代表権を握り続けた。井手氏自身「JR西は私そのもの」との自負がある。 幹部の一人は、JR西の発足当初「ボーナスは出るんかな」と危ぶんだという。多くの赤字ローカル線を抱え、京阪神では私鉄と競合する。「本社の求心力を高めるためにも井手氏はワンマンで臨まざるを得なかった」と元幹部は話す。 強力なリーダーシップで経費を削減し、新線開業や列車