第2回WBCで、優勝セレモニーの後、じっとトロフィーを見つめていたイチロー。全力を尽くした後に訪れた優勝の感慨は、いかなるものだったのだろうか……。 2009年3月に開催されたWBC第2回大会の数カ月前、イチローを取材したときのことだ。まだ、イチロー自身も参加の表明をしていなかった。 取材の同席者が、アメリカは今回も本気じゃないですしね、と言うと、イチローは「そんなことないですよ」とやや語気を強めた。 そのリアクションに、ずいぶんと意外な感じがしたものだ。 確かに、その頃はまだアメリカの代表候補メンバーに錚々たる名前が挙がっていた時期ではあった。だが、客観的に見る限り、やはり第1回大会と同様に本気度は低いようにも感じられていた。 そのとき思ったのは、イチローがWBCに出るには、そこは重要な要素なのだなということだった。 「第2回大会を終えた時点で、3回目の出場は考えられませんでした」 日本