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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (7)

  • 苦しまないと、死ねない国『欧米に寝たきり老人はいない』

    せめて、死ぬときぐらい安らかに逝きたい。 だが、現代の日では難しいらしい。老いて病を得て寝たきりになっても、そこから死にきるためには、じゅうぶんな時間と金と苦しみを必要とする。寝たきりで、オムツして、管から栄養補給する。痰の吸引は苦しいが、抵抗すると縛られる。何も分からず、しゃべれず、苦しまないと死ぬことすらままならない。 タイトルの「欧米に寝たきり老人はいない」理由は、簡単だが単純ではない。というのも、「寝たきりになる前に(延命治療を拒否して)死ぬから」が答えであることは分かっていても、なぜ「延命治療を拒否する」ことが一般化しているか明らかでないから。書によると、数十年前までは日と同様に、終末期の高齢者に対し、濃厚医療が普通だったという。欧米では、これが倫理的でないという考えが広まり、終末期は「べるだけ・飲めるだけ」が社会常識になった。金の切れ目が命の切れ目。高齢化社会に伴う医療

    苦しまないと、死ねない国『欧米に寝たきり老人はいない』
    pongeponge
    pongeponge 2015/09/22
    病気や怪我で苦しんで生きたくない人には薬物による安らかな死の選択肢があってもいいと思うけど/認知症は難しいよなぁ、本人の意思確認がとりにくいから
  • 美は、見る人のなかにある『美しい幾何学』

    これを紹介するのは、とても簡単で、すごく難しい。 というのも、簡単なのは、これは「見る数学」だから。ただ眺めているだけで、その美しさが伝わってくるから。教科書ならモノクロで印刷される定理や図形を、鮮やかなモダンアートにして魅せてくれるから。オイラー線やサイクロイド、シュタイナーの円鎖など、単体でも美しいフォルムをカラフルにリデザインしており、ページを繰るだけで楽しくなる。ひまわりやオウムガイの螺旋に見られる、形のなす必然に心が奪われるだろう(たとえフィボナッチ数の話を知っていたとしても)。 同時にこれは、「知る数学」でもある。だから、伝えるのは難しい。直感だけで受け取った美には、そのパターンを支えるシンプルな定理が存在し、かつそれは、なるべくしてそうなっていることに気づかされる。この必然性を知るためには、やはり定理を解き、式を理解する必要がでてくる。編集方針なのだろう、数式を控えめに、なる

    美は、見る人のなかにある『美しい幾何学』
  • 結果から原因を探る数学『逆問題の考え方』

    わたしが知ってる数学は、“半分”でしかなかった。もう半分は、生々しく、荒々しい。同時に、数学の「正しさ」について強制的に考えさせられる。 わたしの知ってる数学は、「原因→結果」に従う。すなわち、原因を既知として法則に沿って計算する。万有引力から塩水の濃度まで、自然界を則るルールの理解や予測に役立つ。書によると、これは「順問題」と呼ぶ。 一方で、「結果→原因」を求める数学がある。現象の原因を観測結果から、逆のパスを通して決定・推定する問題だ。これが「逆問題」だ。逆問題を意識しないとき、「順問題」は、単に「問題」と呼ばれる。わたしが数学の全てだと信じてきた問題の大半は、これだったのだ。 たとえば、放射性物質で汚染された水を入れる貯水槽の問題がある。 【順問題】 ある貯水槽に放射性物質で汚染された水が流れ込み、混ぜ合わされ、流れ出ている。ある日、貯水槽の放射性物質濃度は、1Lあたり24.0ベ

    結果から原因を探る数学『逆問題の考え方』
    pongeponge
    pongeponge 2015/02/10
    焼いて膨らんだパンの形から、生地の形を求める」みたいな論文を読んだことある
  • 「ヴァギナ」はスゴ本 【全年齢推奨】

    知ってるつもりのヴァギナが、まるで違ったものに見えてくる。 のっけからのけぞる。モザイクかかっているものの、ヴァギナそのものが誇らしげに表紙に掲げている(遠目だとちゃんと認識できる)。表紙だけでなく、子を産むヴァギナや、常態のヴァギナなど、普通では見られない写真や図版も豊富にある。写真だけでなく、科学や宗教、歴史、神話と伝承に、文学と言語、人類学、芸術の幅広い資料から徹底的に調べ上げている。 そして、偏見と妄想をとっぱらったヴァギナを多角的・広角的に紹介する。同時に、ヴァギナに対する文化的・科学的バイアスを指し示すことで、どれだけ歪んだヴァギナ・イメージに染まっているかをあぶりだす仕掛けになっている。これを読むことで、男女問わずヴァギナ観がガラリと変わることを請合う。 まず、神話や伝承、民俗学では、恐れ敬われ、魔よけともなる力強い姿が紹介される。さまざまな神話や伝承が示す、着衣をまくりあげ

    「ヴァギナ」はスゴ本 【全年齢推奨】
    pongeponge
    pongeponge 2010/08/21
    クリトリスがY形っていうのがよくわからない…買うしかなのか…
  • 詐欺師の手引書、あるいは自衛のために「統計はこうしてウソをつく」

    「嘘には三つある。普通の嘘と、真っ赤な嘘と、統計だ」 マーク・トウェインのこの言葉に、笑うか納得したならば、書は不要だ(でないなら、書を読むと愕然とする)。メディア・リテラシーの基礎なので、このblogの読者なら既知のことばかりかと。統計がいかに恣意的になされ、曲解され、独り歩きしているかが丁寧に説明されている。 たとえば、恣意的な統計については、銃の規制に関する2つのアンケートが紹介されている。銃規制活動家が調べた結果では、米国民の3/4以上が銃規制に賛成している。いっぽうで、全米ライフル協会の調査によると、米国民の3/4以上が銃規制に反対しているそうな。なぜか?違いは、質問の仕方に秘密がある。 銃規制賛成者「あなたは違法な銃販売を取り締まることに賛成ですか?」銃規制反対者「誰が銃を販売してよく、誰が銃を所持してはいけないかを決める権限を警察に与える法律に賛成ですか、反対ですか?」 

    詐欺師の手引書、あるいは自衛のために「統計はこうしてウソをつく」
  • 作家を、プロデュース「小説作法ABC」

    小説を書く基技術がひととおり。 新米作家の教則として読んでもいいし、深い読書への手引書として扱ってもいい。「小説は、Why? とBecauseで推進される」とか、「読書の快楽は予定調和とドンデン返し」といった基礎だけでなく、「同じ村上でも、春樹は回想、龍は実況」や、「谷崎は変態、三島は売れない俳優」といった、著者の文学観をも垣間見ることができる。 なかなか実践的なのは、各章のおしまいに「練習問題」がついているところ。たとえば、既読の小説のあらすじを100字にまとめろという。要約することで、いわゆる「読ませどころ」へ向かわせる物語の軌跡が見えてくるんだと。さらに、要約した小説の帯コピーを50字でまとめろという。キャッチコピーを考えることで、その小説の「最大の売りどころ」を見抜けという。要は「目玉」やね。おもしろそうだとそのとき感じた作品を漫然と読んできたわたしにとって、いい刺激になる。

    作家を、プロデュース「小説作法ABC」
  • 10ドルの大量破壊兵器「AK-47」がもたらした世界

    「こうと分かっていれば、自分は時計職人にでもなるべきだった」 アインシュタインのこの言葉を思い出す。自分の研究の"成果"である原子爆弾がもたらした惨事を知ったときのセリフだ。ミハイル・カラシニコフは、自分がつくったAK-47について、こう語っている。 「わたしは自分の発明を誇りに思っている。しかし、それがテロリストたちに使われているのが哀しい。人びとが使えて、農民の助けになるような機械を発明すればよかった。たとえば芝刈り機のようなものを」 単純な構造のため誰でも扱え、めったに故障せず、きわめて安価なアサルト・ライフルAK-47。この突撃銃は、戦争の形態から世界のパワーバランスまで変えてきた。累計一億挺以上つくられてきたAKの構造と、世界に蔓延していく様を、(悪い意味での)ジャーナリスティックに描いている。「アフリカクレジットカード」と呼ばれるほどコモディティ化しており、人類史上最も人を殺

    10ドルの大量破壊兵器「AK-47」がもたらした世界
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