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斎藤環の検索結果1 - 15 件 / 15件

  • 人は人と出会うべきなのか|斎藤環(精神科医)

    「というのも、各々は直接的に他者のうちに自分を知るからであり…しかもそれによって、各々が、他者もまた同じように彼の他者の内に自分を知るのだ」(ヘーゲル『イェーナ体系構想』法政大学出版局) 「臨場性」はなぜ必要か コロナ禍の中で、心から消滅して欲しいと思ったのは「ハンコ」である。 大学が入構自粛になっているのに、ハンコを押すためだけに出勤することの徒労感。そういえばうちの大学では、会議からはほぼ完全に紙資料が駆逐されて、タブレットで会議資料を閲覧することになりはしたけれど、「ワープロで作成しプリントアウトした紙資料に押印したものをスキャンしてPDF化」という純和風デジタイズが横行しており、電子署名などまだまだ imagine the future の彼方——内輪ネタですみません——というありさまだ。というか、そもそも現政権におかれましてはIT担当大臣が日本はんこ議連議長を兼任、という漫画のよ

      人は人と出会うべきなのか|斎藤環(精神科医)
    • 「鬼滅の刃」の謎 あるいは超越論的炭治郎|斎藤環(精神科医)

      ※ 本論は12月9日に開催されたゲンロンカフェのトークイベント「伊藤剛×斎藤環×さやわか 『鬼滅の刃』と少年マンガの新情勢」で述べたいくつかの論点の備忘録として書かれた。ネタバレについては一切配慮をしていないので、原作未読・アニメ未見の方には注意を促しておく。 「鬼滅の刃」のわかりやすさ 「鬼滅の刃」(以下「鬼滅」)が空前のブームを巻き起こしている。アニメ「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」は公開三日目にして興行収入48億円という空前の記録を樹立し、12月12日までの興行収入が299億2千万円、観客動員数が2152万人に達した。国内興収記録歴代1位の「千と千尋の神隠し」を抜くのももはや時間の問題であろう。原作漫画はさきごろ最終巻となる23巻が発売されて全巻の売り上げが1億2000万部を越え、11月30日発表の「オリコン年間コミックランキング 2020 単巻別」では、史上初の「1位~22位独占」

        「鬼滅の刃」の謎 あるいは超越論的炭治郎|斎藤環(精神科医)
      • 「意思疎通できない殺人鬼」はどこにいるのか?|斎藤環(精神科医)

        7月19日に公開された藤本タツキの漫画「ルックバック」は傑作だった。CSM以来の藤本ファンとしては、この作家の底知れない引き出しの多さに驚愕したし、予告されているCSM第二部への期待感がいやがうえにも高まった。とはいえ、私は自分がこの作品のほんとうの素晴らしさを理解できているとは思わない。本作は「漫画家についての漫画」であると同時に、これまでになく藤本の個人史を投影したとおぼしい作品だ。それゆえ、実際に漫画制作に関わった経験のある人ほど、その素晴らしさを深く理解できるであろう。 私は特に物語後半の「じゃあ藤野ちゃんはなんで描いてるの?」という問いかけに続く無音のシークエンスがことのほか好きで、そこだけ何度も読み返している。藤野のネームを読んだ京本のうれしそうな笑顔、涙ぐむ京本にティッシュを渡す藤野、ただ京本を喜ばせたかった、という想いが画面全体から溢れ出してくる。藤本作品は良く映画的、と言

          「意思疎通できない殺人鬼」はどこにいるのか?|斎藤環(精神科医)
        • 「マイルドな優生思想」が蔓延る日本に「安楽死」は百年早い(斎藤 環) @gendai_biz

          筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性から依頼を受け、医師が薬物を投与して殺害し逮捕された事件で、京都地検は事件に関わった2名の医師を8月13日、嘱託殺人罪で起訴した。報道によればALSの女性は以前から強く安楽死を希望しており、2018年12月にツイッターで被告の医師と知り合ってから、やりとりを重ねていたという。 医師の一人はクリニックを開業しており、メンタルケアや緩和ケアに力をいれ、ホスピスの運営も手掛けていた。2名の医師は、共著で高齢者の安楽死を積極的に推奨するような電子書籍(書名はあえて記さない)を発行していたが、この本には以下のようなくだりがあると報じられている。 《認知症で家族を長年泣かせてきた老人、ギャンブルで借金を重ねて妻や子供を不幸に陥れた老人。そんな「今すぐ死んでほしい」といわれる老人を、証拠を残さず、共犯者もいらず、スコップや大掛かりな設備もなしに消せる方法がある。医療に紛

            「マイルドな優生思想」が蔓延る日本に「安楽死」は百年早い(斎藤 環) @gendai_biz
          • 「ひきこもりは非常に犯罪率が低い集団としか言いようがない」精神科医・斎藤環氏が過剰な報道に苦言 | 国内 | ABEMA TIMES | アベマタイムズ

            先月、神奈川県川崎市で小学生ら20人が刃物で襲われ2人が死亡した事件、そして1日に東京都練馬区で元農林水産事務次官が長男を視察した事件。いずれの事件でも、メディアの報じ方に疑問の声が上がっている。 報道番組では、事故現場でリポーターがストップウォッチを用いて"10数秒"という容疑者の犯行スピードの速さを表現。あるいはコメンテーターやキャスターが「1人で死んでくれ」という趣旨の発言も飛び出した。また、容疑者の家宅捜索を伝える報道では「部屋からテレビやゲーム機」という見出しで伝えたことが非難を浴びた。

              「ひきこもりは非常に犯罪率が低い集団としか言いようがない」精神科医・斎藤環氏が過剰な報道に苦言 | 国内 | ABEMA TIMES | アベマタイムズ
            • 自殺者が後を絶たない…リアリティーショーは「現代の剣闘士試合」か(斎藤 環) @gendai_biz

              女子プロレスラーの木村花さんが5月23日、急逝した。彼女は2019年5月からフジテレビ系列で放映中のリアリティーショー『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』に出演中だった。彼女の死には、放映中からSNS上で彼女に向けられた誹謗中傷が大きく影響したと報道されている。 木村さんの没後、ネット上ではSNSの誹謗中傷をめぐる論議が活発化した。フジテレビは「テラスハウス」の放送中止を発表し、遠藤龍之介社長は検証チームを立ち上げる意向を明らかにした。ネット上の批判の矛先は、いまや番組制作陣や他の出演者などにも向けられ、原稿執筆時点ではまだ「炎上」が続いている。 この事件を受け、高市早苗総務相は、インターネット上の誹謗中傷を巡る発信者の情報開示について制度改正も含めて対応する考えを明らかにしたが、この機に便乗して政府への批判を封じる意図があるのではと警戒する声が上がっている。 な

                自殺者が後を絶たない…リアリティーショーは「現代の剣闘士試合」か(斎藤 環) @gendai_biz
              • 斎藤環氏の『ルックバック』批判に精神障害当事者として思うこと。 - Something Orange

                統合失調症当事者として考える。 公開されるや否やソーシャルメディアで大評判となり、あっというまに数百万回のアクセスを記録し、そして瞬く間にその表現を問題視されたマンガ『ルックバック』が、やはり記録的な速さで内容を修正されたようである。 ルックバック - 藤本タツキ | 少年ジャンプ+学生新聞で4コマ漫画を連載している小学4年生の藤野。クラスメートからは絶賛を受けていたが、ある日、不登校の同級生・京本の4コマを載せたいと先生から告げられるが…!?shonenjumpplus.com 『ルックバック』作品内に不適切な表現があるとの指摘を読者の方からいただきまし​た。⁰熟慮の結果、​作中の描写が偏見や差別の助長につながることは避けたいと考え、​一部修正しました。 少年ジャンプ+編集部https://t.co/Vag51clfJc — 少年ジャンプ+ (@shonenjump_plus) Augu

                  斎藤環氏の『ルックバック』批判に精神障害当事者として思うこと。 - Something Orange
                • 炭治郎は『鬼滅の刃』で最も謎めいた「空虚な中心」である(斎藤 環) @gendai_biz

                  【本記事は『鬼滅の刃』最終巻までの内容を含みます】 『鬼滅の刃 無限列車編』で描かれた炭治郎の「無意識領域」を見て、改めて炭治郎の純粋さを感じた人は少なくないだろう。どこまでも続く水面の上に広がる青い空以外、何もない空間。しかし、その「何もなさ」にこそ炭治郎のある種の「狂気」があると、精神科医の斎藤環さんは指摘する。精神科医が見た、『鬼滅の刃』の「もうひとつの物語」とは。 「正義の被害者」と「闇落ちした被害者」の戦い 炭治郎の「狂気」について触れる前にまず、『鬼滅の刃』が描いているものについて説明しておく必要がある。本作における鬼とは、「トラウマゆえにモンスター化した人間」の隠喩である(われながら、いかにも精神科医らしいベタな解釈だとは思う)。 暴力の被害者は、時として加害者(=鬼)になることがある。対人援助の仕事に関わったものならば覚えがあるだろう。決して多くはないが、虐待やDVの被害者

                    炭治郎は『鬼滅の刃』で最も謎めいた「空虚な中心」である(斎藤 環) @gendai_biz
                  • コロナ禍で「リモートの方が楽」な若者へ 精神科医・斎藤環さん | 毎日新聞

                    ビデオカメラなどを使用して進められるオンライン授業。「コロナ禍」によって全国の大学でこうした光景が見られた=2020年5月7日、矢頭智剛撮影 会議も、授業も、診療も、飲み会も……。新型コロナウイルス禍による自粛生活で、さまざまな「リモート」化が定着し、1年が過ぎた。リアルで人に会う機会の減ったこの日々は、私たちにどんな影響を及ぼすのだろう。精神科医の斎藤環・筑波大教授は「コロナ禍をきっかけに『ひきこもり』は増える」と予測する。そのわけは?【小国綾子/オピニオングループ】 臨場性の暴力が減れば ――コロナ禍では、「リモートの方が楽」と喜んだ人、逆に「リアルで人と会いたい」と悲しんだ人、どちらもいます。1年以上の「リモート」生活は私たちを変えていきますか? ◆私はこのコロナ禍で、人と人が出会うことの価値のゆくえに目をこらしてきました。コロナ禍でリモート化が進み、世界中で人と人がリアルで会うこと

                      コロナ禍で「リモートの方が楽」な若者へ 精神科医・斎藤環さん | 毎日新聞
                    • コロナ・ピューリタニズムの懸念|斎藤環(精神科医)

                      疫病は倫理観を書き換える。14世紀にヨーロッパの人口の約30%(地域によっては80%)を死亡せしめたペスト(黒死病)は人々の死生観に影響を及ぼし、「メメント・モリ(死を思え)」なる標語を生んだ。一方、18世紀におけるイギリスでのペストの流行は、故郷に疎開して思索に集中できたアイザック・ニュートンに万有引力の着想をはじめとする「三大業績」をもたらした。15世紀から16世紀初頭にかけて急速にヨーロッパに広まった梅毒は、イギリス人の意識と社会的身ぶりとを変え、ピューリタニズムをもたらしたという説がある。 20世紀末から流行したHIVは、当初は罹患者の特徴から、同性愛やドラッグカルチャーに対する神罰、といったニュアンスでとらえられた。粘膜を介しての血液の交換が危険であると理解されてからは、避妊のためではなく、いわば「粘膜への禁欲」としてコンドームの使用が大々的に推奨された。 そして現在、新型コロナ

                        コロナ・ピューリタニズムの懸念|斎藤環(精神科医)
                      • 健やかにひきこもるために|斎藤環(精神科医)

                        中国のあるSNSからの依頼で、新型コロナウィルスが蔓延してひきこもりがちな生活を送らざるを得ない場合の注意事項についてコメントしました。せっかく書いたのでこちらでも公開します。 いまひきこもっているのが一番安全という状況なので、ひきこもりがちな生活に慣れる必要があります。ひきこもり専門家の立場から、できるだけ健全にひきこもる生活スタイルを考えてみました。 ※ 「ストレス対処法」や「睡眠」の項目は、中井久夫「ストレスをこなすこと」(『精神科医がものを書くとき』ちくま学芸文庫)に依っています。 ・積極的にひきこもる 受け身でひきこもってしまうと、ストレスがたまりやすくなります。目的を持って、あえてひきこもるという「設定」にしてみてください。 めったにないほど「まとまった時間」があるわけですから、筋トレや読書、語学など、いつかやろうと思ってできなかったことをやってみるのはどうでしょう。一か月限定

                          健やかにひきこもるために|斎藤環(精神科医)
                        • ミサンドリーとリプロライツ|斎藤環(精神科医)

                          私の「炎上」を機に、Twitter上でリプロライツの議論が活性化しています。私自身の主張はかなり単純なのですが、ツイートで毎回同じことを書くのは骨が折れるので、ここにまとめてみました。ご一読くだされば幸いです。 まず大前提ですが、ジェンダーギャップが大きい現実、男性優位の社会や制度、家父長制的な慣習が遺残している現実、女性表象の「もの」的消費の現実が問題であるのは当然です。こうした状況に対する対抗運動としてフェミニズムはきわめて重要な意味を持つと考えています。ただし、私は「フェミニズムは女性の自己決定の保証を求める運動だ。自立する女性を励ます運動だ。保護という名目で女性の自由を奪うことに反対する運動だ」(@ruriko_pilltonさんのツイート)という意見に同意し、『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』(チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ、河出書房新社)にも同意する立場なので、男性批判

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                          • “感染”した時間|斎藤環(精神科医)

                            花々を見て、煙のまとわりつく木々を見て、のぼっては下るカラスの群れを見て立ちつくすわたしに、ピーターが何か言った。「野菜に囲まれて物思いかい」だったかしら。「おれはカリフラワーより人間がいいぞ」だったかしら。ある朝、朝食どき、テラスでのことだった。ピーター・ウォルシュ……もうすぐインドから戻る。六月?七月?どちらだか忘れた。だって、あの人の手紙は恐ろしく退屈なんですもの。覚えているのは語られた言葉、あの眼差し、ポケットナイフ、笑い顔、不機嫌。何百万の物事が何もかも消え失せて、残ったのがカリフラワーについての二言三言だなんて、とても不思議。 (バージニア・ウルフ著、土屋政雄訳『ダロウェイ夫人』光文社) 被災した時間 大規模な災厄は、人間の時間意識を変える。 そのことを最初に意識したのは9年前、東日本大震災の直後だった。震災は時間の流れを分断し複線化した。列島は複数の時制へと引き裂かれた。目前

                              “感染”した時間|斎藤環(精神科医)
                            • 斎藤環先生「自分の<声>という薬」――『自分の薬をつくる』書評④|晶文社

                              私は精神科医として、坂口恭平の多方面にわたる活動を興味深く見守ってきた。坂口は双極性障害の当事者なのだが、一貫して現在の精神医療のあり方を批判しており、独自に編み出した自己治療の手法を著作などで紹介している。そうした彼の活動を快く思わない一部の精神科医がいることは承知している。これでは真面目に治療に取り組んでいる——医師の指示通りに通院服薬を続けている——患者を混乱させてしまう、というわけだ。 私も精神科医の端くれだから、彼らの言い分はわからなくはない。しかし、その批判が当たっているとは思わない。逆に問いたい。そういうあなたは、ガイドライン通りの治療法で、一体何人の双極性障害患者を寛解に持ち込めたのか?と。私? 自慢ではないが、改善事例は多々あれど、きれいに寛解して治療終結、という事例はいまだ記憶にない。しかし坂口氏の自己治療は、少なくとも彼自身の状態を寛解に持ち込み、現在は薬物を服用せず

                                斎藤環先生「自分の<声>という薬」――『自分の薬をつくる』書評④|晶文社
                              • 斎藤環さん、コロナで誰もが気付いた「会うことは暴力」:朝日新聞デジタル

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                                  斎藤環さん、コロナで誰もが気付いた「会うことは暴力」:朝日新聞デジタル
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