原武史「滝山コミューン一九七四」を読む。 東久留米市の滝山団地の中にある小学校で、1970年代、PTA活動の民主化を契機に、共産党色の強い全生研運動が取り組まれた。その渦中で苦しんだ著者の小学校時代を回想しながら、政治史的な分析を加えて書いている。文章は自伝的なものなので、平易で読みやすい。 著者は一般的に右よりの人間として知られているが、素材が共産党色の強い地域教育運動なのに、バランスの取れた執筆もよいと思う。 著者が紹介し全生研運動というのは、レッテル貼り的に言うと共産党系の教員を中心にPTAや生徒会を巻き込んだ生活指導とコミュニティーづくりの運動である(著者は日教組という言い方をしていたが、社会党系の先生たちは、全生研を朝のうんこ検査が象徴する人権侵害の運動と冷ややかに見てきた)。 クラスを班分けして、班の中と班対班の徹底した討論で生徒集団の民主的自治と統一を作っていくというしかけに