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ブックマーク / himaginary.hatenablog.com (42)

  • クルーグマンのインフレあれこれ - himaginary’s diary

    「コント:ポール君とラリー君――70年代と現在の比較は正しいかの巻 - himaginary’s diary」で紹介したように、インフレについて70年代と現在を比較するのは不適切だと論じたクルーグマンが、8月末のツイートで補足している。 High levels of unfilled job openings played a major role in the "Eek! It's the 70s!" narrative last year 1/ But that now looks like more Long Transitory, with vacancies declining without rising unemployment 2/ And props to the guys who got it right, and argued for a soft landing 3

    クルーグマンのインフレあれこれ - himaginary’s diary
  • 利上げ時のインフレと失業率には因果関係はあるのか? - himaginary’s diary

    という点についてオリビエ・ブランシャールとリカルド・ライスが議論している。具体的には、利上げでインフレを下げる際に失業率が上昇するのは副作用に過ぎず、失業率上昇という経路を通じてインフレが低下するわけではない、とリカルド・ライスがデビッド・ベックワースとの対談で述べ、その言葉をベックワースがツイッターで紹介したところ、ブランシャールが反応して以下のようにツイートしている。 Dear Ricardo, I am puzzled. For me, the increase in unemployment is causal, not a side effect, for inflation. Do you mean to say that, if we could avoid the side effect, we could decrease inflation without higher

    利上げ時のインフレと失業率には因果関係はあるのか? - himaginary’s diary
  • 原油価格、金融政策、およびインフレ高騰 - himaginary’s diary

    というNBER論文をガートラーらが上げている(ungated(SSRN)版)。原題は「Oil Prices, Monetary Policy and Inflation Surges」で、著者はLuca Gagliardone、Mark Gertler(いずれもNYU)。 以下はその要旨。 We develop a simple quantitative New Keynesian model aimed at accounting for the recent sudden and persistent rise in inflation, with emphasis on the role of oil shocks and accommodative monetary policy. The model features oil as a complementary good for

    原油価格、金融政策、およびインフレ高騰 - himaginary’s diary
  • なぜ高齢の学者はスローダウンするのか? - himaginary’s diary

    というNBER論文をHamermeshらが上げている。原題は「Why Do Older Scholars Slow Down?」で、著者はDaniel S. Hamermesh(テキサス大学オースティン校)、Lea-Rachel Kosnik(ミズーリ大学セントルイス校)。 以下はその要旨。 Using data describing all “Top 5” economics journal publications from 1969-2018, we examine what determines which authors produce less as they age and which retire earlier. Sub-field has no impact on the rate of production, but interacts with it to alte

    なぜ高齢の学者はスローダウンするのか? - himaginary’s diary
  • It’s Baaack:2020年代のインフレ高騰と非線形のフィリップス曲線の復活 - himaginary’s diary

    というNBER論文が上がっている。原題は「It’s Baaack: The Surge in Inflation in the 2020s and the Return of the Non-Linear Phillips Curve」で、著者はPierpaolo Benigno(ベルン大)、Gauti B. Eggertsson(ブラウン大)。 以下はその要旨。 This paper proposes a non-linear New Keynesian Phillips curve (Inv-L NK Phillips Curve) to explain the surge of inflation in the 2020s. Economic slack is measured as firms' job vacancies over the number of unemployed

    It’s Baaack:2020年代のインフレ高騰と非線形のフィリップス曲線の復活 - himaginary’s diary
  • 理論的裏付けのある基調インフレ - himaginary’s diary

    クルーグマンが4/15の連ツイで、Iván WerningのNBER論文を基に、理論の裏付けのある基調インフレについて述べている。 Wonk alert! It's a beautiful day, soon I'm going to take a run in the park, but first, some thoughts about ... inflation, where I may actually have something new to say. Bottom line here; I'll explain shortly what I mean and where it comes from 1/ Background: I've become increasingly disillusioned with attempts to measure underlying

    理論的裏付けのある基調インフレ - himaginary’s diary
  • 3つの一人当たりGDP - himaginary’s diary

    少し前に一人当たりGDPの国別ランキングに関するツイートが話題になったので、IMFのWEOデータベースのサイトからデータを落としてグラフを描いてみた。ここではアジアは日韓台、欧州は独仏伊、およびアングロサクソンの米英豪を対象とし、期間はデータの取れる1980-2027年とした(ただし、IMFの注意書きによれば、日は2016年、英伊は2021年、それ以外は2022年以降はIMFの推計値)。 ここで注意すべきは、WEOには3種類のドル建て一人当たりGDPが収録されている点である(それ以外に、実質と名目の自国建ての一人当たりGDPも収録されている)。上図では各国についてその3種類のドル建ての値を描画している。 一つは、上のグラフでは青線で描いた2017年時点の購買力平価ベースのドル建て一人当たりGDPである。換算レートの購買力平価を2017年という一時点に固定しているので、為替動向や各国と米国の

    3つの一人当たりGDP - himaginary’s diary
  • 「テロリストを成功者にしてはならない」政策と時間的非整合性 - himaginary’s diary

    細野豪志氏の以下の発言が一部で話題を呼んでいる。 産経新聞のインタビューを受けました。「テロリストを成功者にしてはならない」。 https://t.co/KGjfcfeH52— 細野豪志 (@hosono_54) 2022年11月8日 ここで細野氏が示した方針に対しては賛否両論が出ているが、このように意見が分かれるのは、一つにはこの方針が時間的非整合性を孕んでいるためと思われる。 即ち、ここで細野氏が提案しているのは、「テロリストを成功者にしてはならない」という原則の下、テロによって何らかの問題が浮き彫りになったとしても、その問題の直接的な政策的解決は避ける、という方針である。テロリストを成功者にしないことにより、次のテロの発生可能性を低める、というのがその方針の狙いということになる。 だが、いったんテロが起きてしまった場合、そのテロによって浮き彫りになった問題を解決することは、社会全体の

    「テロリストを成功者にしてはならない」政策と時間的非整合性 - himaginary’s diary
  • 円安は交易利得にどの程度影響しているのか? - himaginary’s diary

    前回エントリでは9年前のエントリの実質為替レートのグラフを延長してみたが、9年前のその前日のエントリでは交易利得への円相場の影響をグラフ化していたので、15日に公表された21年のGDP統計を用いてそちらも延長してみる。具体的には、交易利得の計算式において輸出入デフレーターを円ベースの輸出入物価と契約通貨ベースの輸出入物価で置き換えたものを計算し、その差をみてみる*1。 以下はそうして計算した交易利得のグラフ。 なお、9年前のエントリに書いたようにこの実額は経済的にそれほど意味はないので、その前年差のGDP比も描画してみる。 これをみると、昨年の交易利得への円相場の影響はほぼゼロに近い。 ただ、昨年は円安が1年を通じて進展し、それとともにその悪影響を懸念する声が高まったので、年次ベースでは解像度が少し粗い感もある。そこで、上の2つのグラフを四半期ベースで描き直してみる*2。 これをみると、確

    円安は交易利得にどの程度影響しているのか? - himaginary’s diary
  • ハイパーインフレがナチスを台頭させたわけではない - himaginary’s diary

    以前こちらで紹介した緊縮財政策とナチスの関係に関する論文を共著したGregori Galofré-Vilà(ナバーラ州立大)が、表題の主旨の論文を書いている(Mostly Economics経由の人のLSEブログポスト経由)。 以下はその要旨。 I study the link between monetary policy and populism by looking at the hyperinflation in Germany in 1923, one of the worst spells of inflation in history, and the Nazi electoral boost in 1933. Contrary to received wisdom, inflation data for over 500 cities show that areas mo

    ハイパーインフレがナチスを台頭させたわけではない - himaginary’s diary
  • カズオ・イシグロのキャンセル・カルチャー批判 - himaginary’s diary

    御田寺圭(白饅頭)氏の現代ビジネス記事が物議を醸している。同記事で白饅頭氏は、「リベラルは多様性を反映することを心掛けるべき」という趣旨のカズオ・イシグロの言を冒頭で引用した上で、リベラルにおける画一的な価値観への同調圧力を槍玉に挙げた。それに対し、記事を問題視する人たちは、そうしたリベラル批判をイシグロは口にしておらず、白饅頭氏はイシグロの発言を曲解している、と言う。 確かに、例えばこちらの白饅頭氏批判記事が指摘するように、白饅頭氏が引用した東洋経済のイシグロのインタビュー記事では、「キャンセルカルチャー」的なものへの懸念や言及は表明されていない。しかし実は、少し前のBBC記事でイシグロは、そうした懸念を明確に示している*1。この記事はBBCのインタビュー番組を基にしているが、こちらのテレグラフ記事では番組におけるイシグロの言葉がより長く引用されているので、以下に前半部分を紹介してみる。

    カズオ・イシグロのキャンセル・カルチャー批判 - himaginary’s diary
    songe
    songe 2021/03/30
  • ベトナムの低予算COVID-19対策の成功 - himaginary’s diary

    について論文が書かれ、著者の一人Hong Kong NguyenがProject Syndicateにその概要を寄稿している(H/T Mostly Economics)。以下はそこからの引用。 Perhaps most remarkably, unlike South Korea, which has spent considerable funds on aggressive testing, or Singapore, which has established strong epidemiological surveillance, Vietnam has followed a budget-friendly approach that has proven equally effective. Despite expectations of high rates of transm

    ベトナムの低予算COVID-19対策の成功 - himaginary’s diary
  • 事後に対象者を絞る社会保険 - himaginary’s diary

    をパンデミック対策としてマンキューがブログで提案している。 単純で素早くパンデミック対策の給付を行うためには全国民に配るのが良い、と言う経済学者もいるが、そうした気前の良い給付は当に困っている人に対象を絞っていないので高くつく、と懸念する経済学者もいる。かといって当に困っている人に対象を絞った給付は対象者の特定に時間が掛かり、かつ、漏れが生じる恐れもある。 そこでマンキューが提案するのが、事前に対象者を絞るのではなく事後に対象者を絞るやり方である。 具体的には、以下の給付と所得税付加税の組み合わせを提案している: 今後Nヶ月、全員に毎月Xドルを給付する。 2020年に、2021年4月(もしくは数年後)を納税期限とする所得税付加税を課す。額はN*X*(Y2020/Y2019)とする。ここでY2020は各人の2020年の所得、Y2019は2019年の所得である。ただし、この所得税付加税はN

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    songe 2020/03/26
  • 将来世代はグレタ・トゥーンベリを許さない? - himaginary’s diary

    ふと、かつて温暖化対策の行き過ぎを諌めたビョルン・ロンボルグはグレタ・トゥーンベリについて何か言っているのかな、とぐぐってみたところ、9月末にこのような論説を書いていることを知った。以下はその概要。 人間が気候変動の科学を理解して行動しないことは「悪」であり、気候変動によって「人が死んで」おり、あと8年余りで炭素の排出余地は尽きてしまうため、2028年までに化石燃料で動くものをすべて閉鎖すべし、というグレタ・トゥーンベリの国連演説は、良く見られる主張であるが、根的に間違っている。確かに気候変動は人為的な原因で現実に生じているが、気候変動で世界が終わるという彼女の見方は根拠が無い。IPCCによれば、2070年までの気候変動の影響は、生態系への影響も含めても、平均所得の0.2-2%の減少に相当する。その時までに、地球上の各人の所得は300-500%向上している。 1世紀前の生活はつらいものだ

    将来世代はグレタ・トゥーンベリを許さない? - himaginary’s diary
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    songe 2019/12/15
  • MMとMMTの比較表 - himaginary’s diary

    最近MMTが俄かにかまびすしくなったので、ブログを通じて昔MMTを少し齧った記憶を基に、米国版リフレ派とでもいうべきマーケットマネタリスト(MM)との簡単な比較表を作成してみた。 ハイパワードマネーの源泉 信用創造 経済安定化のための政策目標 政策に対する制約条件 マーケットマネタリスト(MM) 中央銀行 ・かつてのマネタリスト:貨幣乗数一定を仮定⋯ハイパワードマネーに比例してマネーも増やせると想定 ・現在:信用創造の場は銀行貸出であること(「万年筆マネー」)を認めつつ、中長期では中銀がマネーを制御できると想定 インフレ目標、もしくはその発展形としての名目GDP目標 インフレ MMT 政府の財政支出 「万年筆マネー」を認めつつ、マネーの純ベースの増加をもたらすのはあくまでも財政支出であることを強調 ジョブギャランティー インフレ 以下はブログのMMT関連エントリ。 himaginary

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    songe 2019/05/01
  • 財政緊縮策がナチスを台頭させた - himaginary’s diary

    という主旨のNBER論文が上がっている。論文のタイトルは「Austerity and the rise of the Nazi party」で、著者はGregori Galofré-Vilà(ボッコーニ大)、Christopher M. Meissner(UCデービス)、Martin McKee(ロンドン大学衛生熱帯医学大学院)、David Stuckler(ボッコーニ大)。 以下はその要旨。 The current historical consensus on the economic causes of the inexorable Nazi electoral success between 1930 and 1933 suggests this was largely related to the Treaty of Versailles and the Great Depres

    財政緊縮策がナチスを台頭させた - himaginary’s diary
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    songe 2017/12/15
  • なぜ緊縮策を伴う不況は恒久的な影響をもたらすのか? - himaginary’s diary

    表題のエントリ(原題は「Why recessions followed by austerity can have a persistent impact」)でサイモン・レンールイスが、ここで紹介した6/5エントリを受ける形で、緊縮策が経済に恒久的なインパクトを与えるメカニズムについて考察している(H/T Economist's View)。 そこで彼は、低迷する需要に合わせて供給が調整されてしまう原理として履歴効果を挙げ、以下のように解説している。 供給は労働参加率、生産資技術進歩に依存するが、需要不足が長く続くと労働者は意気を沮喪し、投資は手控えられる。 とりわけ技術進歩を通じた影響は重大で、内生的成長理論で精力的に研究されている。例: Antonio Fatas…単純なAKモデル Gianluca Benigno、Luca Fornaro「Stagnation traps」…より

    なぜ緊縮策を伴う不況は恒久的な影響をもたらすのか? - himaginary’s diary
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    songe 2017/07/14
  • 男の子は幼児保育の質の差に左右されやすい - himaginary’s diary

    という結果を示したNBER論文を、ノーベル経済学賞を2000年に受賞したジェームズ・ヘックマンらが上げている(論文自体も公開されている)。論文のタイトルは「Gender Differences in the Benefits of an Influential Early Childhood Program」で、著者はJorge Luis García、James J. Heckman、Anna L. Ziff(いずれもシカゴ大)。 以下はその要旨。 This paper estimates gender differences in life-cycle impacts across multiple domains of an influential enriched early childhood program targeted toward disadvantaged child

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    songe 2017/06/03
  • シェールガス革命とDQN - himaginary’s diary

    ここで紹介したAutorらの研究と相補的とでも言うべきNBER論文が上がっている。論文のタイトルは「Male Earnings, Marriageable Men, and Nonmarital Fertility: Evidence from the Fracking Boom」で、著者はメリーランド大のMelissa S. KearneyとRiley Wilson。 以下はその要旨。 There has been a well-documented retreat from marriage among less educated individuals in the U.S. and non-marital childbearing has become the norm among young mothers and mothers with low levels of educa

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    songe 2017/05/24
  • 米国は多くの人にとって発展途上国に後退しつつある - himaginary’s diary

    というINETブログ記事でピーター・テミンの下記の新刊が取り上げられている。原題は「America is Regressing into a Developing Nation for Most People」で、著者は同研究所のSenior Research AnalystであるLynn Parramore。 The Vanishing Middle ClassPrejudice and Power in a Dual Economy【電子書籍】[ Peter Temin ] ジャンル: ・雑誌・コミック > 洋書 > SOCIAL SCIENCEショップ: 楽天Kobo電子書籍ストア価格: 2,743円 In a new book, The Vanishing Middle Class: Prejudice and Power in a Dual Economy, Peter Te