「霜降り肉」の牛 盲目になることも 味と飼い方 揺れる農家 信濃毎日新聞 2011 年 6 月 11 日(土) その牛は、額の先で手を振っても反応がなかった。 黒目は焦点が定まっていない。ほかの牛と体をぶつけることも多い。 「盲目の牛です」 。 ステーキなどの高級食材になる和牛を飼う県中部の 50 代の男性 農家が打ち明けた。 「おいしい肉にしようとすれば、こうした牛が出てしまう」と男性。飼育中の約 130 頭のうち、1 頭が完全に目が見えず、10 頭弱は視力低下が進んでいる。こうし た牛も人体への影響はまったくないとされ、普通に出荷される。 盲目になるのは、肉に「サシ」と呼ばれる白い脂肪分を入れようとして、牛の栄 養が偏ってしまうことが原因だ。 和牛の価格は、サシの入り具合で決まる。多くの農家の目標は、高値で取引され る細かなサシが入った「霜降り」の牛を育てることだ。そのため、農家は生後