監修者より 二〇〇九年五月二十六日、グイン・サーガ正篇百三十巻外伝二十二巻を遺し、栗本薫・中島梓は、逝去しました。 そのひと月後に刊行された、新装版『グイン・サーガVIII 帰還』のあとがきに彼女は、こう記しています。 「自分がもしかなり早く死んでしまうようなことがあっても、誰かがこの物語を語り継いでくれればよい。どこかの遠い国の神話伝説のように、いろいろな語り部が語り継ぎ、接ぎ木をし、話をこしらえ、さらにあたらしくして、いろんな枝を茂らせながら、それこそインターネットが最初空想していたような大樹になってもよいではないか──」 この言葉を受け、われわれは、途絶したグイン・サーガの続篇をつないでいこうというプロジェクトを進めてまいりました。その第一歩が、この『グイン・サーガ・ワールド』という企画です。 栗本薫氏の遺稿、新作外伝の連載、日記抜粋、今岡清氏のエッセイ連載を基本的な構成とし