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ブックマーク / hiko1985.hatenablog.com (6)

  • 道路交通看板「静かに」について - 青春ゾンビ

    夜が更けた帰り道、親の運転する車の窓から見上げる、「静かに」と書かれた青い看板が好きだった。お出掛けが終わってしまう“寂しさ”と、知っている場所に帰ってきた“安心感”がないまぜになったような感覚。幼心に芽生えたちょっとだけ複雑な感情が、あの看板に今でも宿っているような気がする。 そもそも、道路標識というものは、運転中にドライバーが目にするものだから、注意喚起するわりには情報量が少ない。じっくり読ませてしまったら事故を起こしてしまうから。「結局のところ、どういう意味なんだっけ?」と混乱することもあるが、効率や機能性を追い求めるこの情報社会において、あの“抜け感”がちょっと心地よいのだ。 個人的に「普通自転車等及び歩行者等専用」(得体の知れない物語性*1)とか「動物が飛び出すおそれあり」(シカ、タヌキ、サル、ウサギなどバリエーションがあるところかわいい)の標識あたりが好き。 そういった道路標識

    道路交通看板「静かに」について - 青春ゾンビ
    tweakk
    tweakk 2023/07/25
    たしかにこの看板好きだった
  • 宮﨑駿『君たちはどう生きるか』 - 青春ゾンビ

    宮﨑駿による『不思議の国のアリス』(もしくは宮沢賢治の童話)とでもいうような、イマジネーションの破茶滅茶なまでの躍動。『千と千尋の神隠し』以降の作品に見られた傾向がさらに押し進み、ストーリー・テリングとしては、明らかに混乱している。しかし、それは宮﨑駿の“世界”に対する誠実な態度であるように思う。シンプルで明瞭なストーリーで語り切れるほど、この複雑で暗澹たる現代は生易しくないし、そもそも人間というのはそんなに簡単なものではない。たとえば、この映画における主人公の父親。彼にいい印象を持つ観客は多くないだろう。転校初日に車で学校に乗りつけたり、子どもの喧嘩に介入したりするさまなどは、まさにエーリッヒ・ケストナーが『飛ぶ教室』で書いた大人への批判がそのまま当てはまる。 どうしておとなはじぶんの子どものころをすっかり忘れてしまい、子どもたちにはときに悲しいことたみじなことだってあるということを、あ

    宮﨑駿『君たちはどう生きるか』 - 青春ゾンビ
  • 野木亜紀子『アンナチュラル』1話 - 青春ゾンビ

    うおー。思わず声が出てしまうほどにおもしろいではありませんか。脚、役者、演出、編集、劇伴、衣装・・・あらゆる要素が90点越えを叩き出す超優等生の登場である。脚は野木亜紀子。『空飛ぶ広報室』(2013)、『重版出来!』(2016)、『逃げるは恥だが役に立つ』(2016)などで高い評価を得た、原作もののスペシャリストがついにオリジナル脚テレビドラマを手掛けるということで、期待値は高かったのですが、その予想の遥か上をいく完成度。ここ20年のテレビドラマの軌跡と叡智の結晶というような感触を覚える。そう考えると、”遺体解剖”という作品のモチーフはあまりにもはまっている。野木亜紀子は相当のテレビドラマフリークであると聞く。 テレビドラマの過去のアーカイブス(≒死体)を暴き出し、「このドラマは何故おもしろいのだろう?」というのを徹底的に究明し、未来へと繋げた成果が、この『アンナチュラル』なのであ

    野木亜紀子『アンナチュラル』1話 - 青春ゾンビ
  • Tomato n’Pine 『PS4U』 - 青春ゾンビ

    tweakk
    tweakk 2017/03/24
  • 本秀康『ワイルドマウンテン』 - 青春ゾンビ

    先日まで『ワイルドマウンテン』全巻がアプリで無料で読める、ということで盛り上がっていたので、時流に乗って久しぶりに読み返して、笑って笑って咽び泣き。もう当に好きで、むちゃくちゃ影響を受けまくっていることを再認識しました。「また明日も見れくれるかな?」「いいともー」というタモリとの約束を律儀に守る菅彦。指のささくれを剥きながら「笹くれー」とパンダの親子を妄想する菅彦。「男子たるもの、自分のべるパスタ数くらい憶えておくものだぞ。」とか「冗談のわからん俺。つまらん男でございます。」とか「寂しいとか言うと、寂しいぞ。」とか、もうパンチラン製造機ですよ。『たのしい人生』『レコスケくん』『秀康名作劇場』など傑作揃いの秀康ワークスの中で唯一の長編にして最高傑作。アプリなどでなく、全巻即購入推奨でございます!で、終わってもいいのですが、少しだけあらすじなどを。 地球防衛軍隊長である菅菅彦は極秘

    本秀康『ワイルドマウンテン』 - 青春ゾンビ
    tweakk
    tweakk 2016/10/19
    「ただ流しっ放しだったその涙に、菅彦が気付いてくれるし、銀造がハンカチでそっと拭き取ってくれる。本田くんの放尿は登場人物の涙のメタファーとして空に虹をかける」
  • 米林宏昌『思い出のマーニー』 - 青春ゾンビ

    この世には目に見えない魔法の輪がある 輪には内側と外側があって、私は外側の人間 という台詞が冒頭に配置されており、米林宏昌の「宮崎駿が描かないものに焦点を当てるのだ」という意気込みが窺える。なるほど、杏奈という今作の主人公は無表情で不機嫌。『千と千尋の神隠し』の千尋という例もなくはないが、このような主人公はスタジオジブリ作品において異例と言っていいだろう。センシティブな感性が内に向かって、自分や他人を傷つける女の子。七夕のお願い事に、夢や冒険を託すどころか「”普通”に暮らせますように」と書いてしまう。そんな彼女の感性を抱きしめ、この世界での舟の漕ぎ方を教えてあげるのが、今作の大まかな流れである。そこで、登場するのがマーニーであるわけなのだが、杏奈とマーニーの同性愛的な関係を取り上げ、「性の未分化」「月と潮の満ち欠け」といったタームで、作を解説していってしまうのはどうにもつまらない。 『思

    米林宏昌『思い出のマーニー』 - 青春ゾンビ
    tweakk
    tweakk 2015/10/10
    読んだレビューの中では一番よかった。
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