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ブックマーク / brevis.exblog.jp (16)

  • 休み休み働こう | タイム・コンサルタントの日誌から

    現代の経営学は、今から100年前、フレデリック・テイラーの「科学的管理法」の実践的研究に始まると言われている。テイラーはBethlehem Steel社の工場の技師長だった当時、銑鉄(ズク=Pig-iron)を運ぶ肉体労働に関し、観察と実験に基づく科学的な方法によって、劇的に生産性を向上させたことで知られる。 彼はまず、この一連の労働を、5つの要素的なタスクに分解する。そして、それぞれに必要とする適切な作業時間を割り出した。さらにSchmidt(仮名)という労働者を選び出し、彼に「ズクを持ち上げろ、歩け、回って休め、歩け、休め」と、ストップウォッチ片手で指示した。それまで、労働者の恣意的判断に任されていた時間の使い方を、細かくコントロールしたのである。 その結果は驚くべきものだった。それまで労働者1人は、1日平均12.5トンしか運べなかった。ところがSchmidtは、なんと47.5トンの銑

    休み休み働こう | タイム・コンサルタントの日誌から
    uokada
    uokada 2024/03/24
    “生産性4倍を達成させたテイラーの指示では、作業と休憩の割合が、なんと42%対58%だった。つまり就業時間のほぼ6割を、休憩しているのである。”
  • 『特殊病』それは日本の病気です | タイム・コンサルタントの日誌から

    自分のプロフィールに「国内外の製造業及びエネルギー産業向けに、工場作り・生産システム構築の仕事に従事してきた」などと書いているためか、「日の製造業は、海外に比べて特殊なのですか?」という趣旨の質問をされることが、時々ある。「なぜ日海外はこうも違うのでしょうか?」といった聞き方の場合もある。 こうした質問は、日海外で同等なはずのものが、なぜか違っていた、との事例とともに、語られることが多い。例えば、同じ企業のグループに属しながら、生産管理系のパッケージソフトを、海外工場ではノンカスタマイズでスムーズに導入できたのに、国内工場では苦労したあげく、失敗したという事例。あるいは、国際標準に従ったサプライチェーンの仕組みが、日国内だけどうしても使えなかった事例。 さらに、国内では立派なプロジェクトマネジメントの実績を持つ会社が、海外に出て行って遂行したら、赤字や納期遅延で痛手を被ったケー

    『特殊病』それは日本の病気です | タイム・コンサルタントの日誌から
  • 物流は本当に付加価値がない業務なのか | タイム・コンサルタントの日誌から

    先週の5月26日に、「アジア・シームレス物流フォーラム」https://mf-p.jp/aslf/ のパネル・ディスカッションに参加してきた。このフォーラムは日マテリアルフロー研究センター(JMFI)が主催する展示会で、国内外の大手物流関連企業が集まっている。コロナ禍が過ぎて3年ぶりにリアル展示となり、来場者数も多くかなり盛況だった。物流関係の催しなので、サイトの読者からは縁遠いかと考え、とくにお知らせもしていなかったが、SCMの関連テーマもあり、広報すべきだったかもしれない。

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  • エンジニアリングを再設計する | タイム・コンサルタントの日誌から

    エンジニアリング会社で、それなりに長い間、働いてきた。昨日、4月1日は入社式の日だ。自分のときもそうだった。考えてみるとずいぶん昔のことだが、なんだか、ついこの間のようにも感じる。 率直に言うと、同じ会社でこんなに長く働くとは思っていなかった。エンジニアリング会社は受注産業だ。仕事が取れなくなれば、すぐに倒産する。入社したときに、「この会社は3年もつだろうか」と思ったことを記憶している。 長く働く間に、わたしも人並みに「よそに転職しようか」と思わなかった訳ではない。だが、製造業にも建設業にも、コンサルティング会社にもIT企業にも転じなかったのは、やはり「エンジニアリング」という仕事に、それなりにこだわりをもっていたからである。

    エンジニアリングを再設計する | タイム・コンサルタントの日誌から
  • プロジェクト・マネジメント・システムは存在しうるか | タイム・コンサルタントの日誌から

    「マネジメント・システム」という言葉には普通、二種類の用法がある。方式・体系としてのマネジメント・システムと、ITとしてのマネジメント・システムである。前者の類例には、「品質マネジメントシステム」などがある。いわばルールと手順の体系であって、それ自体は全てを紙ベースで進めても構わない。

    プロジェクト・マネジメント・システムは存在しうるか | タイム・コンサルタントの日誌から
  • プロジェクトを計画しすぎてダメにする方法 | タイム・コンサルタントの日誌から

    「日企業は、計画しすぎなんです。」——最近、ある外資系戦略コンサルタントから、こんなセリフを聞いた。いわゆるDXに関する話題の時だ。「計画して、それも細かく緻密な計画を立てて、石橋をたたくようにリスクを全て洗い出してから、はじめようとします。そして動き出したら、すぐ進捗率を問題にする。でも、そんなやり方では、イノベーションは動きません。」 たしかにまあ、日企業、とくに製造業は、まず計画ありきで動いていると言ってもいい。年度計画(いわゆる「予算」)、月度計画、小日程計画・・。建設業も、似たところがある。全体工程表、月間工程表、週間工程表、等々。現場に行くと、計画表は、必ず目立つ位置にはり出してある。 だが、新しいビジネスモデルを創出するような、イノベーティブな試みは、目指すべき目的地が最初から決まっている訳ではない。登るべき山の頂が明確なら、アプローチの経路を地図の上に引き、どこまで登っ

    プロジェクトを計画しすぎてダメにする方法 | タイム・コンサルタントの日誌から
  • 書評:「囚人のジレンマ―フォン・ノイマンとゲームの理論」 W・パウンドストーン著 | タイム・コンサルタントの日誌から

    第2次大戦終了の4年後、1949年8月に、ソビエト連邦はシベリアで核実験を行い、原子爆弾の保有国となったこ。これにより米国による核兵器の独占体制は(西側諸国の予想よりもずっと早く)終わり、世界は東西の核軍拡競争時代に突入した。 翌1950年の時点では、「アメリカや西ヨーロッパの相当数の人々が、アメリカはただちに、理由などどうでもいいから、対ソ核攻撃を考えるべきだという気持ちになって」いたという。そして、この考え方は「『予防戦争』という遠回しな名で知られ、アメリカが時機をとらえ、核の脅しと奇襲攻撃を通じて世界政府を樹立すべきだというものであった」(P.15-16) この動きを支持した知識人は、当時たくさんおり、その中に著名な数学者も二人いた。バートランド・ラッセルと、書の主人公ジョン・フォン・ノイマンである。ラッセルは後に平和主義に転じるが、フォン・ノイマンはよりタカ派的で、ソ連への先制核

    書評:「囚人のジレンマ―フォン・ノイマンとゲームの理論」 W・パウンドストーン著 | タイム・コンサルタントの日誌から
  • 製造業のデータって、ほんとはDXに向いていないのかもしれないね | タイム・コンサルタントの日誌から

    (前回のあらすじ)あなたは、ある製造業の工場に勤める若手のエンジニアだ。案外パソコンに詳しい、などとおだてられて手製のツールなどを作っているうちに、いつのまにか工場長から『製造IT担当』なる係にされてしまった。なんだか技術者というよりも便利屋みたいだな、などと思いながら、それでも製造ラインのデータを取得するIoTなどの仕組みを工夫したり、生産管理システムの改修要件をとりまとめたりしてきた。 そんなある日、社から突然、「全社DXチーム」のメンバーに任命されたから会議に来い、と命じられる。専務が委員長で、情報システム部の次長が事務局長だ。社内の主な部署から、若手中堅メンバーが集められている。だが、参加してみたものの、皆、何をすればいいのか思案顔であった。最近のデジタル技術は、従来のサーバとPCの中のITより、現実世界とインタラクションが強い、だからそれを利用すればいい、という意見もでた。だが

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  • エンジニアにとって全体最適とは何か? | タイム・コンサルタントの日誌から

    中学校の修学旅行は、京都・奈良だった。清水寺では、その舞台の高さに驚き、「清水の舞台から飛び降りる」の意味を改めて知った。ところで清水寺の参道には、旅人が喉をうるおす3つの湧水の滝口があった。引率のガイドさんによると、3種類の水はそれぞれ、飲むと「恋愛」「長寿」「賢さ」の願いを成就できるのだと言う。わたし達は喜んで、3つの口からそれぞれ水を飲んで、参道を登った。 ところが帰り道、ガイドさんが思いもかけぬことを言い始めた。「あら私、大切なこと言い忘れたかしら。お水を飲むなら2種類までなの。欲張って3種類を全部飲むと、効き目がなくなっちゃうのよ。」 これを聞いた私たちは、そんな大切なことなら、なぜはじめに言ってくれなかったんだ、と、いたく憤慨した。 もっともそれを聞いて、中学生のわたしは思った。恋愛と長寿と賢さと、どれが2つを選ぶとしたら、どれになるだろうか? 難しい問いだ。それはある意味で、

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  • プロジェクトは失敗するものである、という英国人の思想 | タイム・コンサルタントの日誌から

    1993年3月、ロンドン証券取引所は、ビッグバンを背景に7年にわたって進めてきた、株式取引決済システム「トーラス」開発プロジェクトの中止を発表した。証券取引所はすでにこの事業に8000万ポンドの費用を投じており、人件費を含むシティ(ロンドン金融街)全体の投下コストは、総額5億ポンドに上っていた。証券取引所のP・ローリンズ理事長は、責任をとって辞任する。 「トーラス」は、株式売買のバックオフィス業務である株式決済処理の電子化・効率化を目的とした、英国金融界の共同事業で、中心的な推進役はロンドン証券取引所であった。トーラスは米国のパッケージソフト「ヴィスタ」をベースに開発されることになっており、来ならば、'91年10月に稼働しているはずだった。それは一度、'92年夏に延期されていた。しかし、中止決定時点では'93年中の稼働すら危ぶまれる状況だった。 ちなみにこのプロジェクトは、ローリンズ理事

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  • 欧州におけるIndustry 4.0 − その虚像と実相(1) | タイム・コンサルタントの日誌から

    「フィンランドの大学では、受講している科目は何度でも試験を受け直せる、ってホントですか?」−−先月、ヘルシンキで会ったA先生に、わたしはたずねてみた。答えは、”yes”だった。毎月、試験日がある。事前に登録しておけば、会場で、複数の科目の試験を受けられる。そうして、自分が納得いく成績を取れるまで、何度でも繰り返しチャレンジすることができるのだそうだ。ただし教授の側は毎月、試験問題を出す訳だから、大変だろう。それでも、納得できるまで学べる。随分と教育を重視した制度だ。 そもそもフィンランドの大学は、4年で卒業する制度ではないらしい(年限は一応10年以内とか)。学費は交通費も文房具代まで含めて、無料である(小学校から大学まで)。だったら皆が大学に殺到するかというと、そうでもないようだ。卒業はそれなりに難しい。また、大学以外にポリテクニックなど職業訓練校の存在もある。フィンランドの教育制度は近年

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  • 学ぶ人になりたいか、真似る人になりたいか | タイム・コンサルタントの日誌から

    先週の10月21日(金)に、わたしが主査を務めるプロジェクト&プログラム・アナリシス研究部会(長いから以後はP&PA研究部会と略そう)で、「プロジェクト・マネジメント教育への新しいアプローチ」と題する報告を行った。P&PA研究部会では数ヶ月前から有志6名が集まって、(仮称)PM教育分科会をつくり、ディスカッションしてきた。その中間発表と、会員同士の意見交換が当日の主な内容だった。 「新しいアプローチ」とはどういう意味か? それは「教えない」ことだ。いや、より正確には「教えすぎない」ことというべきか。わたし達は、教育とは「正解の知識」を伝授することではない 、と考える。マネジメントという行為は、ほとんどの場合、正解のない問いに答えて決断していかなければならない。なぜ正解がないかというと、どのような意思決定であれ、それがプロジェクトにもたらす結果には不確実性がつきまとうこと、また複数の価値基準

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  • 技術リーダーの出現をはばむもの | タイム・コンサルタントの日誌から

    「最近の日の経済はどうですか?」——外国人と事をしていると、よくたずねられる話題だ。先週、北米の関連会社から来たエンジニア事していた時も質問された。またその前の週にも、フランスで開かれたPM関係の国際シンポジウムの夕会で、隣り合わせた顔見知りに、まったく同じ事をきかれた。彼は米国のビジネススクールの学部長だった。反対側に座ったインド人(彼は豪州の大学教授だったが)も、興味深そうに聞き耳を立てる。米国もオーストラリアも日から見れば隣国のようなものだが、こちらの発信力が低いせいか、日の状況はさっぱり分からないらしい。わたしは答えた。 --良くないよ。GDPは成長どころか、じり貧だ。株価は一応保っているけど、最近の報道によると、日銀と政府系の年金基金はなんと、上場企業全体の7%もの株式を買って持っているらしい。つまり買い支えているわけだ。 その問いに答えるのは、簡単ではない。経済学

    技術リーダーの出現をはばむもの | タイム・コンサルタントの日誌から
  • トラブルには技術的原因と、マネジメント的原因がある | タイム・コンサルタントの日誌から

    トラブルの原因分析について、このところ2回にわたって考えてきた(「熱気球の浮上、または原因分析のシステムズ・アプローチについて」・「経験から学びすぎることの危険 ~ゆらぎある事象の原因分析について」 )。原因分析の手法にこだわっているのは、それが「学び」と「成長」の鍵だからである。自らの能力を向上させ、成長するためには、仕事の結果(成果)から学ぶべきだと、わたしは信じている。個人も、組織集団も、である。 仕事の結果としてトラブルが生じたら、そこから素直に学ぶ。成功からも学べるが、失敗から学ぶ方が、記憶に強く残るからだ。そして(当然ながら)すべてに成功できる人なんていない。あの田宗一郎だって、「自分は失敗ばかりしていた」と言っているくらいだ。他人から見たら成功でも、自分ではそこに足りない点を見る、というのがこの経営者の卓越した点だったのだろう。 さて、繰り返すが、『根原因』Root Ca

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  • 稼働率100%をねらってはいけない | タイム・コンサルタントの日誌から

    多くの製造業においては、工場の稼働率が、重要な管理指標として今も使われている。3週間前のエントリ「原価の秘密 - なぜ、黒字案件だけを選別受注すると赤字に陥るのか 」(2014/07/06)でも説明したように、製品の個別原価を計算する際、材料費や労務費などの他に、製造機械の使用時間に応じた費用を含めるのが普通だ。その製品の加工作業で、製造機械が何時間必要だったかをベースに、機械のコストをチャージする。いわば“機械の使用料”だ。 個別の機械1時間あたりの使用料単価を『機械賃率』と呼ぶが、これは各機械の年間の維持費用(減価償却費等)を、年間の実稼働時間で割って計算する。機械の遊んでいる時間が多いほど、実稼働時間は減るから、同じ作業をしていても原価が上がる、というのがふつうの会計の仕組みだ。だから、製造業では稼働率を上げるべく、あれこれと努力するという訳である。 そして、前回のエントリを読まれた

    稼働率100%をねらってはいけない | タイム・コンサルタントの日誌から
    uokada
    uokada 2014/07/27
  • ITエンジニアの『生産性』と、データ・サイエンスの微妙な関係 | タイム・コンサルタントの日誌から

    ある、社外の人との集まりに顔を出した時のこと。IT分野の経験を積んだ人が多く、みな一家言持っておられる。わたしは昨年後半から、久しぶりに社内のIT関連業務を見るセクションに移ったばかりなので、最近の事情に疎い。なるべく拝聴する側に回ることにした。話は業界の技術トレンドから、クラウドやビッグデータといった最新のバズワードに向かい、日IT業界の現状をなげく論調にうつった。日を代表する大手SIerたちの低空飛行ぶり、技術的イノベーションの不足、そして多重下請に象徴される業界の構造的問題。追い打ちをかけるように、オフショアとの競合による単価の下落。なんだか、あんまりエンカレッジされるような話題が出てこない。 --だとすると、日のSI業界というのは将来性があるのでしょうか? わたしは思い切って、直球ど真ん中の質問をなげてみた。しかし返ってきたのは、苦笑いするように首を横に振る姿ばかり。 「情

    ITエンジニアの『生産性』と、データ・サイエンスの微妙な関係 | タイム・コンサルタントの日誌から
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