スーツ姿のアンチェロッティと、決勝点を決めレアル・マドリーを準決勝に導いたチチャリート(ハビエル・エルナンデス)は、試合後しばらくの間ピッチの上で抱き合っていた。 右ひざのアイシングが痛々しい。チチャリートは試合を通して走り回り、得点を決めたあとは、足を引きずりながらピッチを去った。 会場にメキシコ人の名がこだましている。 毎試合、ベルナベウでは誰かの名が叫ばれる。ロナウド、ベイル、ベンゼマ、ハメスにイスコ。チチャリートの名前がこれほど何度も連呼されるのは、今季初めてのことだ。 「チチャリートを祝福しなければ。なかなかプレーできず、難しい1年を過ごしていたから。彼は苦しみながらも戦い、必死で練習を続けていた。この得点は彼へのご褒美だ」 アンチェロッティは、ほっとした表情でこの日の主役をねぎらった。 互いの良さを消しあう「退屈な試合」を決めたのは。 CL準々決勝レアル・マドリーとアトレティコ