東京都千代田区にある弁護士事務所が社会福祉士を雇用する取り組みを始めた。弁護士法人ソーシャルワーカーズ(浦崎寛泰代表)は生活上の困難を抱えたクライアントへの継続的な日常支援を展開する。浦崎弁護士は「法律相談を入り口に、福祉制度につなげるモデルが広がれば」と話す。 同法人は2020年4月、社会福祉士の佐藤香奈子さんをフルタイムの常勤職員として採用した。所属する9人の弁護士は、福祉的支援の必要な相談者がいれば佐藤さんにつなぐという。 現在、佐藤さんが抱えるのは20ケースほど。日常生活の支援計画作りや、裁判への出廷、施設探しなど刑事・民事問わず多岐にわたる。 振り込め詐欺事件で逮捕された20代男性は、面談で知的障害があることが分かった。「穏やかな性格を利用され、犯罪に加担させられていた」(佐藤さん)という。 裁判で佐藤さんは、男性に障害があることや、犯罪に巻き込まれない支援体制の重要性を主張。実
小鉢由美弁護士(左)と更生支援計画の内容を確認する男性。今は定職に就き、グループホームを出て1人暮らしをする準備を進めている=福岡県で、宮原健太撮影 それはあまりにもお粗末な窃盗事件だった。北九州市の大型商業施設。多くの人目がある夕方、男性(33)はバーベキューセットをカートに乗せたまま外に出たところを警備員に見つかり、現行犯逮捕された。 2015年5月、国選弁護人として市内の警察署で接見した小鉢(こばち)由美弁護士(福岡県弁護士会)は、目をそらしながら、どこか人ごとのようにゆっくりと話す男性の様子に違和感を覚えた。事件の経緯を尋ねると「地元の友達2人から『バーベキューをしたいから盗んでこい』と言われた」と答えた。 男性はこれまでも他人から言われて盗みを働いては、何度も捕まってきたと説明した。中学生の指示に従ったこともあったという。
大阪・ミナミの繁華街。男性は出所するとこの街に現れ、金が尽きると盗みをはたらき、また刑務所に戻る人生を送ってきた=大阪市中央区で、貝塚太一撮影 55歳無職男性の判決が15日、奈良地裁葛城支部で 奈良県内の工場でビスケットなど菓子(400円相当)を盗んだとして窃盗罪などに問われた無職男性(55)の判決が15日、奈良地裁葛城支部(五十嵐常之裁判官)で言い渡される。男性は知的障害の可能性が高い。前科10犯で、服役は通算約30年間に及ぶ。社会経験がほとんどなく、親族や知人もいない。検察側は懲役4年6月を求刑したが、弁護側は再犯防止の観点から男性が福祉的支援を受けられるよう求めている。 公判記録などによると、男性は徳島県出身。中学卒業後、大阪府八尾市内の工場でプレス工として働いたが、20歳の時に窃盗容疑で逮捕された。20代に4回、30代に3回、40代に2回、50代に1回、窃盗などの罪で有罪判決を受け
比較的軽い罪を犯した高齢者や知的障害者らの再犯を防ぐため、地検が捜査段階で社会福祉士と連携し、更生を図る「入り口支援」の取り組みが8月で2年を迎えた。高齢受刑者の約7割が再犯とされる中、2年間で63人の支援を実施し、再犯率は約2割にとどまっている。地検は「再犯防止に効果がみられる」として引き続き支援に力を入れる。(落合宏美) 対象は、万引きなど軽微な罪を犯し、逮捕、送検された高齢者や知的障害者、精神疾患者ら。刑務所を出た後も、必要な生活支援を受けられず、犯罪を繰り返すケースが多いとされ、検事は社会福祉士と面談させ、刑務所より、生活保護の受給や病院での治療などの方が有効と判断した場合、起訴猶予にしたり、略式起訴にしたりする。 地検によると、2014年8月の取り組み開始後、今年7月末までに63人に支援を実施。9割以上を起訴猶予とし、各自治体の地域包括支援センターや保護観察所、病院などに引き継い
認知症の男性(当時91)が列車にはねられて死亡した事故をめぐり、JR東海から損害賠償を求められ、今年3月の最高裁判決で勝訴した長男(66)が12日、京都市内で講演した。公の場に初めて姿を見せた長男は、「認知症の人の家族にとって、画期的な判決だったと思う」と振り返った。 公益社団法人「認知症の人と家族の会」の総会で、約250人を前に語った。 事故は2007年12月、愛知県大府市で起きた。自宅兼事務所で妻(93)がまどろんだすきに、男性は外出。最寄り駅から一駅先の共和駅で下車し、線路に下りて列車にはねられた。 それまでにも、男性は自宅を出て、かつて勤務した農協や生家に向かうことがあった。「父は目的意識を持って歩いていたと思う。一連の報道で使われた『徘徊(はいかい)』という言葉は、誤ったイメージを与えている」。事故の日、男性のズボンのチャックが開いていたと、警察から後で聞いた。「トイレを探してい
敗訴しては大変。その保身ゆえ親族後見人を敬遠する家裁。身近な者を遠ざけて超高齢化社会を乗り切れるのか。 -- 認知症や精神疾患で判断能力が低下した高齢者らの財産や契約を、本人に代わって保護・支援する「成年後見制度」の後見申し立て数が伸び悩んでいる。2000年に従来の禁治産・準禁治産制度に代わって制度が発足して以来、順調に伸びていたが、12年に3万4689件といったんピークを付けると、13年と14年は続けて減少した。15年は過去最高となったものの、前年比409件増とほんのわずかな増加にとどまった。(グラフⅠ) 今後10年間、高齢化はますます進み、後見人を必要とする場合が多い認知症高齢者の数も急増が避けられない見通しになっている。それにもかかわらず、閉塞感が漂う状況になっている。現場でいったい何が起きているのだろうか。 次のような事例がある。首都圏に住む40代の独身女性は、80代の母親
知的障害や発達障害などがある容疑者や被告の弁護活動が円滑に進むよう、横浜弁護士会と県社会福祉士会が、こうした障害者の刑事裁判に際して情報を共有する協定を結んだ。今月から取り組み、障害者の更生を支援するため協力して弁護に当たる。(鬼頭朋子) 同弁護士会によると、知的障害などがある容疑者や被告は、取り調べの時に事情をうまく説明できなかったり、必要な否認が出来なかったりし、量刑が重くなる可能性があるという。刑務所を出所してからも、必要な生活支援が受けられず、経済的問題や人間関係のトラブルなどをきっかけに軽度な犯罪を繰り返すケースがみられるという。 協定では、弁護士が被告らの様子などから福祉的支援が必要だと判断した場合、同福祉士会に依頼し社会福祉士の派遣を受ける。弁護士は本人の同意を得た上で、障害者手帳の有無や家族構成、事件の概要など具体的な情報を開示。社会福祉士は接見にも同行し、障害の影響を弁護
事件番号 平成20(受)1427 事件名 謝罪広告等請求本訴,慰謝料請求反訴事件 裁判年月日 平成21年10月23日 法廷名 最高裁判所第二小法廷 裁判種別 判決 結果 その他 判例集等巻・号・頁 集民 第232号127頁 判示事項 特別養護老人ホームの入所者に対して虐待行為が行われている旨の新聞記事が同施設の職員からの情報提供等を端緒として掲載されたことにつき,同施設を設置経営する法人が,複数の目撃供述等が存在していたにもかかわらず,虐待行為はなく上記の情報は虚偽であるとして同職員に対してした損害賠償請求訴訟の提起が,違法な行為とはいえないとされた事例 裁判要旨 特別養護老人ホームの入所者に対して虐待行為が行われている旨の新聞記事が同施設の職員からの情報提供等を端緒として掲載されたことにつき,同施設を設置経営する法人が,虐待行為につき複数の目撃供述等が存在していたにもかかわらず,虐待行為
軽微な犯罪を繰り返し、刑務所と実社会を行き来する知的障害者を累犯障害者と呼ぶ。刑罰と福祉に加え、地域や住民は累犯障害者にどう向き合うべきか。同名の著書で知られる元衆院議員、山本譲司氏と、障害者福祉をライフワークとする厚生労働省事務次官、村木厚子氏に、対談を通じて現状や課題を語ってもらった。(聞き手 小野木康雄、池田進一) 福祉が出所者拒絶も? --累犯障害者の現状をどうみるか 村木 特定の1人に寄り添うという福祉では当然の支援が、司法の場や、福祉と司法にまたがる所でできていない。集団管理が基本の矯正施設では個別の支援が困難。福祉サイドにも出所者への一種の拒絶反応というか、「私たちは専門じゃないから無理です」という最初からあきらめがある。 山本 司法と福祉は、一見同じことをやっているように見えても、目指すところは、かたや再犯防止とかたや生き直しなんですね。カルチャーや用語の違いもあって、齟齬
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着古した青い半纏(はんてん)姿の男=当時(37)=は、小柄な体をかがめ、傍聴席を見回した。威嚇するような目つきは、おびえの裏返しだったのか。それとも、刑務所へと続くレールに乗せられたことに抵抗していたのか。 「せめてひと言」 整備工場から中古車を盗んだとして常習累犯窃盗罪に問われた男に、京都地裁は2月24日、懲役1年10月の実刑判決を言い渡した。 男には重度の知的障害があり、精神年齢は「4歳7カ月」と鑑定されている。後藤真知子裁判官は、善悪の判断や行動の制御ができると結論づけたものの、弁護側が「争点」に位置づけた再犯防止策には言及しなかった。 「せめて説諭でも、社会へ戻るときに本人や福祉関係者の支えとなるひと言があれば…」。弁護人の西田祐馬弁護士(京都弁護士会)は悔しがった。 西田弁護士は控訴し、2審大阪高裁の初公判が今月19日から始まった。 一方、前回の常習累犯窃盗事件はすでに有罪判決で
週末のニュース等でさかんに映像が流れておりましたので、すでにご承知の方も多いと思いますが、下関市の知的障害者施設において、通所している障害者の頭を殴ったり、障害者に向けてモノを投げたり暴言を吐く・・・といった男性職員の行動が隠しカメラの映像で明らかとなり、施設側はこの男性職員を懲戒解雇としたうえで弁護士を中心とする第三者委員会を設置する方針を決めたそうです(たとえば産経新聞ニュースはこちらです)。これは私の推測ですが、カメラの映像をみるかぎり、本事件の根本原因は男性職員の個人的な不祥事だけではなく、組織としての構造的な欠陥にあるように感じました。 ちなみにこの施設の事件について、昨年の5月に下関市に匿名の内部告発があったそうですが、その際の市の調査では不適切な行動は認められなかったとのこと。勇気ある職員の隠しカメラによる撮影、その後のマスコミへの内部告発によって、ようやく不祥事が明らかにさ
万引きなどの犯罪を繰り返してしまう認知症の高齢者や知的障害者などの社会復帰を支援するため、東京弁護士会は、弁護士と連携して支援に取り組む社会福祉士などの専門家に、最大で10万円を援助金の形で支給する独自の制度を来月から始めることになりました。 こうした人たちの社会復帰を支援するため、東京弁護士会は、認知症の高齢者や知的障害者などを担当する弁護士と連携して支援に取り組む社会福祉士などの専門家に、弁護士を通じて最大で10万円を援助金の形で支給する独自の制度を来月から始めることになりました。 社会福祉士などの専門家は、容疑者や被告の更生に向けた計画書を作ったり、福祉施設につなぐ手続きを行ったりしていますが、これまでこうした費用を援助する制度はなく、ボランティアに頼っていたのが実情だということです。 東京弁護士会によりますと、こうした制度は全国で初めてです。 東京弁護士会の彦坂浩一副会長は「更生に
社会福祉士でもある浦﨑弁護士(右端) 司法関係者が障害のある被疑者・被告人の社会復帰支援に関連し、福祉分野に急接近している。東京社会福祉士会が2月28日に都内で開いた公開講座では、村木厚子・厚生労働事務次官が共生社会にかける思いを語ったほか、村木次官の基金から助成を受けて活動する弁護士が実践を報告。3月1日に日本社会福祉士会が都内で開いたシンポジウムでは、検察官が社会福祉士に頼っている現状を伝える場面もあった。 「司法と福祉の間には壁がある。それはぶつかって初めて分かる。両者の接点を見いだすことが大切で、ぶつかることを避けてはいけない」——。 障害により福祉的な支援が必要と思われる被疑者・被告人の弁護士からの依頼で助言などにあたっている浦﨑寛泰弁護士(東京)は28日、約250人の参加者にこう語った。 浦﨑氏は任意団体「東京エリア・トラブルシューター・ネットワーク」の代表。2013年5月に立
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