日本経済はずっと「異常」が続いている 今、アベノミクスは明らかに、壁にぶつかっていると言えるでしょう。このままではデフレ経済に逆戻りしてしまう。「インフレ・ターゲット」ではなく、今こそ「賃金ターゲット」を導入すべきです。 東京大学大学院教授、渡辺努氏は、物価のスペシャリストである――。かつて日本銀行で調査統計を担当し、現在は、内閣府の経済財政諮問会議の政策コメンテータも務めている。日銀の政策決定の重要な情報源として利用されている「東大日次物価指数」(以下、東大指数)の生みの親でもある。 昨年、12月1日に2万円を付けた日経平均は、これまでに5000円超も下落した。リーマンショック後にも匹敵するような下げ相場に、日銀は1月29日に追加緩和してマイナス金利を導入したが、渡辺氏は「効果は乏しい」と指摘。最近の東大指数の動向からも「このままではデフレに逆戻りしてしまう」と強い危機感を募らせている。