来月22日の「土用の丑(うし)」の日を前に、国産ウナギの価格高騰の影響が広がっている。 4年連続となる稚魚(シラスウナギ)の不漁で、稚魚の取引価格は、記録的な高値だった昨年の約214万円(1キロ・グラム)を超え、活ウナギの価格も上昇。うなぎ店では、値上げに踏み切っているものの、安い外国産を扱う外食チェーンの攻勢も加わり、客離れから閉店に追い込まれるところも出ている。 「お客さんが本当に来なくなってしまった」。5月末でのれんを下ろした東京・神田小川町のうなぎ専門店「寿々喜」の元店主、松下貴司さん(57)は、がらんとした店内で寂しげに話した。 松下さんは、1909年(明治42年)創業の老舗の4代目。20代で店を継ぎ、木製のお重を半世紀以上も使う地元の名店として人気だったが、ここ数年は仕入れ価格の高騰が経営に重くのしかかっていた。