映画『宮松と山下』は「ピタゴラスイッチ」を手がけた佐藤雅彦を含む3人の監督集団「5月」による初長編作品で、サン・セバスチャン国際映画祭New Directors部門に正式招待された。主人公は端役専門のエキストラ俳優の宮松。彼には過去の記憶がなかった…というストーリー。それは、真に新しいとは何か? そんなことを考えさせる、新たな映像体験をもたらす。 3人からなる監督集団「5月」の初長編作品 屋根の上、濃いグレーの瓦が続く甍(いらか)の波波波。さまざまな切り取られ方をするその曲線のつらなりを眺めるうち、その画面が、波型の曲線で描かれたデザイン画のように思えてくる。ああなんだかキレイだな…、そんなことを思っていると、カメラはひとりの侍の後姿を映し出す。 ん? 時代劇? さささっと数名の浪人がその前に立ちはだかり、侍とスピーディな殺陣を繰り広げる。やがて、「あぁ…」。致命傷を受けた浪人のひとりが、
第一五七回直木賞受賞作『月の満ち欠け』やNHKで連続ドラマ化された『身の上話』など、佐藤正午の数ある傑作のなかでも最高到達点との呼び声高い『鳩の撃退法』。 二〇一四年一一月に出版され、翌一五年、選考委員から圧倒的な評価を集めて第六回山田風太郎賞を受賞。小説表現の臨界点を超えた、先の読めない展開で多くの読者を魅了するとともに、映像化不可能と言われ続けてきた本作が遂に実写映画として謎解きエンター〈転〉メントに生まれ変わる。 主人公である天才作家・津田伸一を演じるのは日本を代表する唯一無二の怪優・藤原竜也。数々の役を演じてきた藤原だが、今回は全ての登場人物、そして観客のあなたをも物語に巻き込んでいく、藤原史上最も謎めいたキャラクターを演じる。さらに、そんな津田に翻弄される担当編集者・鳥飼なほみを土屋太鳳、ある日突然、家族と共に姿を消したバーのマスター・幸地秀吉を風間俊介、津田の行きつけのコーヒー
「泥棒成金」はアルフレッド・ヒッチコック監督による1955年公開の映画。 盗難事件の容疑をかけられた男が自力で犯人を追う。 あらすじ フランスのリゾート地リヴィエラでは、近頃宝石の盗難事件が連続していた。 上層階の裕福な婦人ばかりを狙った鮮やかな手口は、かつて巷を騒がせていた「キャット」と呼ばれる宝石泥棒を思わせるものだ。 ジョン・ロビーは戦争中のレジスタンスでの活躍で恩赦を受け、仮釈放の身。 現在は足を洗い、丘の上の別荘で悠々自適な生活を送っていたが、事件により疑いをかけられてしまう。 無実を晴らすため、自らの手で犯人を捕まえようと昔の仲間の元へ向かった。 予告編動画 To Catch a Thief (Alfred Hitchcock, 1955) - Trailer - YouTube 仲間の協力と盗みの手口 仲間たちは、今では海辺のレストランのスタッフとして働いていたが、ロビーを見
明日の言葉(その24) いままで生きてきて、自分の刺激としたり糧としたりしてきた言葉があります。それを少しずつ紹介していきます。 「こだわり」という言葉があまり好きではない。 まぁプロが自分の仕事において「素材にこだわった」とか「道具にこだわって」とか使う場合はいい(それでも、プロであればそんなこと当然のことであって、別に威張る問題ではないと思うのだが)。 でも、普通の人が、たとえば「俺って○○にはこだわっててさ」とか言うと、それは自己満足か、もしくは自分の偏狭さに対する言い訳に聞こえる。たいしたことではないのにそんなことを自慢してどうするよ、とか思うこともある。 というか、元々「こだわり」とはネガティブな言葉だ。 最近ではポジティブに褒め言葉として使われることが多い言葉ではあるが、元来は「どうでもいい(とらわれてはならない)問題を必要以上に気にすること」(新明解国語辞典第三版より)という
クエンティン・タランティーノ監督の最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が、8月30日から遂に日本でも劇場公開された。 マンソン・ファミリーによるシャロン・テート殺人事件を、レオナルド・ディカプリオとブラット・ピットの豪華共演で、あのタランティーノ監督がどう描くのか? 公開前から映画ファンの期待も非常に高かった本作。 鑑賞前からあれこれ想像は膨らむばかりだが、果たしてその内容と出来は期待通りのものだったのか? ストーリー リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)は、人気のピークを過ぎたテレビ俳優。映画スターへの転身を目指して焦る日々が続いていた。そんなリックを陰で支えるクリフ・ブース(ブラット・ピット)は、彼に雇われた付き人兼専属のスタントマン、そして親友でもあった。 ハリウッドで生き抜くことに神経をすり減らしているリックと対照的に、いつも自分らしさを忘れないクリフ。そ
クエンティン・タランティーノ9作目の長編監督作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が、8月30日(金)に日本公開を迎える。 本作に登場し、ストーリーの軸ともいえる実在の女優シャロン・テートは、1960年代にテレビの小シリーズに出演し、その後、映画『吸血鬼』(1967)で共演したことが縁で1968年に映画監督のロマン・ポランスキーと結婚。しかし、その翌年1969年8月9日に、狂信的カルト指導者チャールズ・マンソンの信奉者たちによって妊娠8か月の身重の身で、たまたま自宅に訪れていた友人とともにロサンゼルスの自宅で殺害され、その事件は犯罪史上未曽有の猟奇的殺人事件として全米を震撼させた。 本日、8月9日(金)は、シャロン・テート殺人事件が起こってから50年が経つ日。50年という節目となる今年は、この事件にインスパイアされて作られた映画が多く公開される。 『チャーリー・セズ / マンソ
© Amazon Content Services LLC, Film4 a division of Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2018. SNSの功罪も伴ってか総体的に息苦しさのみが際立つ心の酸欠状態の中、人々は国家など政治権力の横暴に対しても不感症になってきているのではないか? 言論の自由が侵され、そのうち私たちの手から完全に奪われてしまうのではないかと危惧してしまうような、そんな深刻な出来事が国の内外で多発しています。 そんな2019年の今から200年前、「ピータールーの虐殺」もしくは「マンチェスターの虐殺」と名付けられた体制側による理不尽極まりない弾圧虐殺事件が、イギリスで起きました…… 《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街399》 巨匠マイク・リー監督が描く『ピーター
アメリカ・ハリウッドで著名な映画監督の妻の女優がカルト集団に惨殺される事件が50年前にあった。「シャロン・テート事件」。日本ではあまり知られていない事件にも関わらず、今夏、関連する複数の書籍や映画が出版、公開されるなど、半世紀を経て再びクローズアップされている。 事件が起きたのは1969年8月9日。のちに「戦場のピアニスト」などで知られるロマン・ポランスキー監督の妻だった新人女優のシャロン・テート(当時26)が自宅に押し入ったカルト集団「マンソンファミリー」に友人ら3人とともに刺殺された。この集団による殺害は計7人に及ぶなど、事件は全米を震撼(しんかん)させ、今もハリウッド最大の悲劇として語り継がれている。 犯行のメンバーが当時を振り返る本が日本で今夏出版され、映画もこの事件を題材にした「ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊」など相次いで公開される。 事件発生の日に合わせた映画…
1969年の公開から50年となる人気映画「男はつらいよ」シリーズ。今年12月には22年ぶりに新作となる第50作「男はつらいよ お帰り 寅さん」が公開されるほか、今月7日に東京・日本橋の三越本店で「みんなの寅さん」展が始まるなど、「寅さんイヤー」となっています。なぜ、いま寅さんなのか――。原作者の山田洋次監督は「ゆとりを失った時代だからこそ」と言います。新作でおなじみの主題歌を桑田佳祐さんが歌う理由など、同作についてたっぷり語ってくれました。 ◇ ――50作目の「男はつらいよ」が今年の暮れに公開されます。なぜ撮ろうと思ったのでしょう。 これまでの49作のフィルムをつなげて回すと3日分くらいの長さになります。それを1本の作品に編集したらどうなるだろう、と前から考えていました。 どういうコンセプトでまとめればいいのかということですが、(寅さんの甥(おい)の)満男(吉岡秀隆)と、恋人だった泉(後藤
【ポスタービジュアル】 『永遠の門 ゴッホの見た未来』size="5"> 2019年11月8日(金)新宿ピカデリー他全国順次公開 フィンセント・ファン・ゴッホの生涯を描くウィレム・デフォー主演作『永遠の門 ゴッホの見た未来』のポスタービジュアルが解禁された。 本作で第75回ヴェネチア国際映画祭で最優秀男優賞に輝き、さらにアカデミー賞主演男優賞に初ノミネートを果たしたウィレム・デフォー演じるゴッホが草原で手を広げ、空を仰ぎ、自然を全身で感じている姿を大きく捉えているポスターは、自然と同化することで、芸術に昇華させようとするゴッホの生き様そのものを表している。 ポスター下部には、オスカー・アイザック演じるゴーギャンや、映画『潜水服は蝶の夢を見る』でもシュナーベル監督とタッグを組んだマチュー・アマルリック演じるガシェ医師の姿も。 本作が描くゴッホは、精神に病を抱え、近しい芸術家たちとも真っ当な人
2017年にワインスタインカンパニーの映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインがセクハラ告発を受け、映画界を追放されてから その勢いがとまらない#ME TOO運動。今日の映画界では女性監督やスタッフたちの活躍が目覚ましく、また一般的にもSNSの発展にもより、女性たちが自身の声を積極的に発することができるようになった。 とはいえ、“男女平等の世界”と断言するにはまだまだ発展途上中のこの時代。だからこそ、今観ておきたい“女性の自立”というテーマを掲げた映画の中から、男性優位の時代に活躍した実在の女性アーティストの姿に注目。主人公の彼女たちの信念の強さと生き方は、きっと世の女性たちのみならず男性たちをも勇気づけてくれるはず。今回、魅力的なアーティストたちの真実の物語が描かれた映画3作品をピックアップした。 『コレット』5月17日(金)より全国ロードシ
『ジョーカー』の日本公開日が日米同日の10月4日(金)に決定し、特報とポスタービジュアルが解禁された。 ジョーカーを演じるのは3度のアカデミー賞ノミネート実績を持つホアキン・フェニックス。これまでもこのジョーカーというキャラクターはジャック・ニコルソン(『バットマン』)、ヒース・レジャー(『ダークナイト』)、ジャレッド・レト(『スーサイド・スクワッド』)など様々な名優たちが演じてきたが、近年特に注目を集めるホアキン・フェニックスは特報でも“狂演”の一端を見せつけ、全世界で早くもアカデミー賞へ期待が高まっている。 また、共演には泣く子も黙る生ける伝説・オスカー俳優ロバート・デ・ニーロ。監督は『ハングオーバー!』シリーズのトッド・フィリップス 。監督と共に脚本を手がけるのは『ザ・ファイター』でアカデミー賞脚本賞にノミネー
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