最も重要なのはこの本の根底にあるメッセージを理解することである。それさえ理解できれば十分である。別の見方をすると、この本が30年近くにわたって支持されている理由もまさに一貫したメッセージがあるからだと考えている。そしてこのメッセージは以下に集約できると考えている。 「企業は資本コストを上回る収益率を上げたときに価値を創造する。これは言い換えると企業が将来にあたって生み出すフリーキャッシュフローを現在の価値に割り引いたものが企業価値である。そして企業価値はROIC(投下資本収益率)、売上高成長率、そしてWACC(加重平均資本コスト)の三つのドライバーで規定される(正確には加えて現在生み出しているキャッシュフローも必要)全ての企業活動はこれらの本質的な向上につながるべきであり、それにつながっていないならば価値創造ではない。例えば会計的な操作をしてEPSを上げようとも、将来のフリーキャッシュフロ