日本と世界を震撼させた安倍元首相銃撃事件の深層を、現代史研究の第一人者が昭和のテロリズムとの対照のなかで探る緊急連載。今回は、山上徹也容疑者が残していたツイッターや書簡における文章を「現代的な檄文」と見なし、そこに映し出された底知れない闇を見つめる――。 今回の安倍晋三元首相へのテロ事件を見て、日本社会にどのような傾向が窺(うかが)えるか、そのことを見ておく必要がある。昭和史を長年にわたって検証してきた立場から言えば、この政治テロは昭和のテロと似ているところと似て非なるところが見事に同居している。つまりテロの本質と、テロが時代によって変化する様とが混在しているという言い方ができる。 この同質性と異質性のよりわけがさしあたり必要だということになるであろう。そうすることで私たちは時代によって変化するテロを正確に見抜く目を持たなければならない。歴史から教訓を学ぶとはそういうことだと確認するために