野村誠という作曲家をごぞんじだろうか。わたしは、このブログに何回か登場していただいている、にむらじゅんこさんから彼のことを教えてもらったのだが、一見、大学生風の青年で年齢は不詳。NHKの幼児向け番組で歌のおにいさんのようなこともやっているのだが、この人は紛れもなく天才である。 先日、早稲田大学で、野村誠氏を囲んだトークセミナーが開催された。早稲田大学の小沼純一教授がホスト役になって、野村氏と彼の音楽について語り合い、合間にピアノ演奏があるという内容だった。 凡庸な作曲家は、白紙の譜面とピアノを前にして、曲想をひねりだすのに何日も辛吟するのだが、天才、アマデウスの耳には、「音楽」が啓示のように降ってきて、それを譜面に書き留めるのも、もどかしいくらいだったという。このエピソードに倣えば、野村誠には、この世界のいたる所に神様が忘れた落し物のように「音楽」の欠片が見えているのだろう。しかし、彼に見