5月3日から5日にかけ神奈川県川崎市「川崎市産業振興会館」で第29回世界コンピュータ将棋選手権(コンピュータ将棋協会主催)が行われた。 56ソフトが参加して2次にわたる予選を勝ち抜いた上位8チームによる決勝リーグの結果、優勝は5勝1敗1分けの「やねうら王」(磯崎元洋氏・開発)、2位は同星ながら、スイス式計算法の点数差によって「Kristallweizen」(クリスタルヴァイツェン)、3位は4勝3敗の「狸王」(タヌキング)となった。 上位ソフトは今年も進化 2017年春に行われた第2期電王戦二番勝負(ドワンゴ主催)では「PONANZA」(ポナンザ)が2勝0敗で佐藤天彦叡王・名人を盤石の内容で破り、ソフトが人間のトップを超えたことが明らかになった。 その後もソフトの進化は止まらず、強さの指標とされる上位ソフトのレーティングは毎年のように更新され続けている。現在、人間のトップ(推定3300点)と
2019年5月7日、8日。岡山県・倉敷市芸文館でおこなわれた名人戦七番勝負第3局は劇的な幕切れとなった。大熱戦の果てに、終盤では佐藤天彦名人が勝勢だった。しかし挑戦者である豊島将之二冠が放った渾身の勝負手に、名人は対応を誤ってしまう。最後は挑戦者の玉が詰まない一方で、名人の玉は受けなしとなった。以下は投了図である。 7三の「圭」は成桂(成った桂馬)を表す。先手(佐藤名人側)は▲4八銀と龍を取ると、後手(豊島挑戦者側)から△6八銀成と王手をかけられ、先手玉は詰まされてしまう。後手玉に迫るには▲6三馬と王手をかけるしかない。そこで後手は△9二玉(参考1図)と逃げる一手。 参考図では、先手は▲7四馬の王手以外に有効な手段はない。しかし後手に△8一玉と逃げられる。馬と玉の追いかけっこで、投了図に戻る。要するに投了図から両者が最善を尽くせば、▲6三馬△9二玉▲7四馬△8一玉・・・という、王手とその受
2019年5月9日。関西将棋会館において、王将戦一次予選・北浜健介八段(43)-藤井聡太七段(16)戦がおこなわれた。 北浜の中飛車に対して、藤井は銀2枚を中央に押し上げる。1図は藤井リードで迎えた終盤戦である。 中上級者の方にはくどく感じられるかもしれないが、初心者の方にもできるだけわかっていただけるよう、天才藤井の指し手と読み筋の一端をたどってみたい。 藤井の玉は2三の地点に、ぽつりと存在する。すぐ周りに味方の駒がいないため、一見藤井ピンチを思わせる。北浜はまず、△2一飛(2図)と王手をした。 縦横どこまでも利く強力な飛車(飛)での王手。藤井は何かしらの手段で、それを受けなければならない。 もし後手玉がどこかに逃げるとすれば、4か所ほどのスペースがある。しかし、そのいずれもが詰んでしまう。 (A)△3二玉は▲2三銀という筋で詰み。△2一玉と飛車を取れば▲2二銀打まで。△3三玉と上に逃げ
第29回世界コンピュータ将棋選手権(WCSC29)で、『やねうら王 with お多福ラボ2019』は優勝しました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 手短にいくつか印象に残った試合と簡単な感想を書いておきます。 Qhapaq戦 Qhapaqはこちらが指し手を思考している最中に相手の指し手を別のPCで予測して、それに対するponderの指し手を探索する『Pre-ponder』という隠し球を実装しているそうでした。 QDMのクラスタはmultiponderベースだったのですが独自実装のpreponderを加えることで相手の持ち時間の120%を使えるという謎の効率化に成功しました。 — Ryoto_Sawada☀Qhapaq (@Qhapaq_49) May 5, 2019 そこで、Qhapaq戦については、SlowMover(序盤重視率)=67にして、序盤の思考時間を減らして終盤に
日本将棋連盟TOP 将棋コラム 「固さからバランスへ、そして読みの重視へ」渡辺明二冠が平成で印象に残る羽生善治九段・藤井聡太七段との将棋を振り返る 私が将棋を覚えたのは平成2年頃。将棋界の年譜を見ると平成4年頃からプロの将棋を観戦していたように思う。私は平成12年に棋士になったのだが、それ以前の出来事で印象深いのは、もちろん羽生善治九段による七冠制覇である。テレビや新聞での報道を見ていて全冠制覇がとんでもないことなのは小学生だった自分にも理解できた。 私が初めてタイトル戦に出たのは平成15年。そういった意味では私にとって「平成の将棋界」とは、前半は見ていたもの、後半は参加したもの、となる。このコラムは「平成で印象に残る将棋」という趣旨なのだが、自分が出たタイトル戦の中では何と言っても互いに永世竜王を懸けた平成20年の第21期竜王戦七番勝負である。その中でも特に内容が濃かった将棋を紹介したい
WCSC29(第29回 世界コンピュータ将棋選手権)の出場チームに対する解説をsuimonさんが記事にされています。 はてなブログに投稿しました #はてなブログ 第29回世界コンピュータ将棋選手権(WCSC29)展望 – コンピュータ将棋研究Bloghttps://t.co/NEyT6cZTMF — suimon (@floodgate_fan) April 23, 2019 目を惹くのは、Qhapaqさんが先後、どちらの手番でも角換りを避けることを明言していることです。 角換わりに関して言えば、NNUEkaiのたややんさん(出場ソフト名は『水匠』)のソフトは、学習の結果、後手番の角換りを自然と指さなくなったそうです。 WCSC29参加予定の水匠は、現在、後手番で角換わりをほぼ指さず、他の有力戦法を学習した気がします。 本番でどこまで通用するか、楽しみです! — たややん@水匠+NNUEk
Ponanzaにおける強化学習とA/Bテスト運用 山本一成氏(以下、山本):山本一成と申します。よろしくお願いします。 ありがとうございます。ここからはややガチめなエンジニアの話です。まず確認したいんですが、エンジニアとかプログラマーって人はどれくらいいるんですかね? (会場挙手) あ、けっこういるのか! 安心した(笑)。 私、10年くらい将棋のプログラムを作ってきて、最初はまったくのど素人から始めたんですけど、いろいろやっていく中で、現代にも通じるようなさまざまな運用とかが出てきたんですね。そのへんをみなさんと共有できればと思っています。 まず最初のスライド、さっそく手書きでやる気がない感じですが(笑)。将棋のプログラムってどんなもの? という話です。将棋も囲碁も、大雑把にいうと、2つの要素があります。1つは探索です。つまり、先を読むということですね。 先を読むと強いです。みなさんもそん
近年の将棋ソフトは2倍の思考時間を使えばR200程度強くなる。ということは、家庭用PCで15分切れ負けの対局でR4300程度だと言われている最新ソフトを自己対局させるとして、片方のソフトだけ持ち時間をその倍である30分を与えるとどうなるだろう? そのソフトは、見かけ上、R4300 + R200 = R4500ぐらいの強さを発揮するわけであるな。 では、もっと桁違いの時間を与えるとどうだろう? 15分切れ負けのとき、序盤の1手には10秒ぐらいしか使わないが、その序盤の特定の局面に対して、1,000倍の時間(10,000秒)を与えれば、そのときの棋力はどれだけになるだろう? log(2)1024 = 10なので、10×R200 = +R2000ぐらい強くなり、R4300 + R2000 = R6300のソフト相当になるのではなかろうか。 R6300のインパクトが強すぎてどれくらいの強さなのか想
将棋の高校生棋士、藤井聡太七段(16)が31日、名古屋市内で「第16回詰将棋解答選手権チャンピオン戦」に出場し、大会初の5連覇を達成した。100点満点中98・5点を獲得し、前半戦3位から巻き返して逆転での優勝。宮田敦史七段(37)が持つ、最多優勝記録の6度にあと1と迫った。 【写真】5連覇を果たした藤井聡太七段(右)と、2位の斎藤慎太郎王座 藤井は前半戦を全3会場で最速の55分で回答を終えて退室したが、第5問で手順はほぼ正解ながら駒を書き間違えるまさかの誤記があり、0・5点減点され49・5点の3位で折り返した。 前半戦でのトップは宮田とアマチュアの山田康平さんの2人だがともに後半は終盤の問題を正解できず、点数を落とした。 藤井も後半は時間をめいいっぱい使い、最後の1分まで回答用紙に記入を続けた。結果的に後半にも同様に0・5点減点の誤記が2つあったものの、手順に間違いはなく、49点を挙げた藤
これはすごい…中原16世名人の57銀のただ捨てを彷彿とさせる銀の妙防でした pic.twitter.com/eCAlxHMfPo — 将棋ウォーズ公式 (@warsminamin) 2019年3月27日 3:名無し名人: 2019/03/28(木) 17:50:29.28 ID:FDM9Gzxl すごいものを見た 第32期竜王戦ランキング戦4組準々決勝、藤井聡太七段対中田宏樹八段 先手の中田八段リードで終盤に入って藤井七段の残り時間はなし(60秒以内に指さなければ時間切れで負け) そしてこの局面 ここで藤井七段の指し手はなんと▽6二銀!!! 当たり前だがこれは中田八段が▲同竜とタダで取ることができる 中田八段は▲同竜とした しかしこれは罠 なんと7筋の竜の守りがなくなったことで中田八段の玉に▽6八竜からの難解な17手詰めが発生していたのだ!!! どのように逃げても17手後までに詰む 藤井七
はじめに いやはやすごいものを見てしまった。 下図は終盤の局面で中田宏樹八段が▲5四歩と銀取りに歩を打った局面である。 ここで藤井聡太七段の指し手は△6二銀!(下図)。 なんと龍が利いているところに銀を引いたのである。 実戦は両者一分将棋となっている中、中田八段は▲同龍と銀を取った。 以下、△6八龍 ▲同 玉 △6七香 ▲5七玉 △5六歩▲同 玉 △4五金(投了図) まで110手で藤井聡太七段の勝ちとなったのだ。 投了図以下は、▲5七玉△3九角▲4八歩△同角成▲同銀△5六歩▲4七玉△3五桂▲3七玉△2七馬(参考図)までの詰みとなる。 駒余りなしの詰みでまさに驚愕の手順である。 本記事ではこの最終盤にスポットを当てて、本譜で現れなかった手順も含めて詳細解説をしていきたい。 はじめに 棋史に残る一手△6二銀の意図 詰み手順の詳細 他のプロ棋士からも称賛の声 藤井聡太七段の棋史に残る一手△6二銀
またリアルタイムで、藤井聡太伝説が生まれる瞬間を見た――。それが固唾を飲んでネット中継を見つめていた将棋ファンの、偽らざる気持ちであろうか。 2019年3月27日。東京・将棋会館において、竜王戦4組ランキング戦3回戦(準々決勝)の▲中田宏樹八段(54歳)-△藤井聡太七段(16歳)戦がおこなわれた。 藤井は今年度ここまで44勝8敗(未放映のテレビ棋戦の対局を含む)。中原誠16世名人が1967年度に記録した47勝8敗(勝率0.855)にはわずかに届かないものの、前年に続いて、圧倒的な高勝率をマークしていた。竜王戦ランキング戦はこれまで6組、5組と連続優勝。4組もここまで2連勝で勝ち進んでいる。 対する中田は、王位戦七番勝負に挑戦者として登場したこともある実力者。言うまでもなく、強敵である。 ▲中田宏樹八段-△藤井聡太七段戦は相矢倉となった。中盤から終盤にかけては、先手の中田が見事な指し回しを見
日本将棋連盟TOP 将棋コラム 羽生善治九段が語る、大山康晴十五世名人との対局。米長邦雄永世棋聖も加わってガチンコ勝負の感想戦【平成の将棋界を振り返る】 「坊や、今日は対局かい?」四段に昇段してプロとして将棋会館に行った時に米長(邦雄永世棋聖)先生からよく挨拶代わりにこの言葉をかけて頂きました。 奨励会時代にあまり記録係を務めておらず、公式戦の雰囲気をよく知らないまま、四段になってしまったのでその言葉でだいぶリラックスする事ができました。 また、同時に大変な世界に来てしまった実感もありました。 当時はインターネットも無かったので棋士の名前と顔を知るのは将棋年鑑のプロフィールぐらいだったのですが、そこに掲載されていた写真も一部の人は長きに渡って更新されておらず、対局で顔を合わせて始めて実像を知る事もありました。それを考えると現代とは隔世の感があります。午前中の対局室はとにかく賑やかでほぼ、世
最年長が30代、平均年齢が20代になるのは、羽生九段が40歳、30歳を迎えて以来です。 タイトル保持者の年齢幅をグラフで見ると、2004年頃にも世代交代が起きている様子が窺えます。 https://t.co/XDeLAlB0EP
第68期王将戦七番勝負は2月25日、挑戦者の渡辺明棋王(34)のストレート勝ちで幕を閉じた。敗れた久保利明王将(43)は無冠へ転落した。 将棋の戦法を大きく2つに分けると居飛車と振り飛車になる。振り飛車は居飛車より狙いや指し手がわかりやすく、将棋ファンに人気がある。王将戦で敗れるまで久保九段はタイトルホルダーで唯一の振り飛車党であり、振り飛車を好むファンから大きな声援を受けていた。今回、久保九段がストレート負けを喫したことで、振り飛車が冬の時代に入ったという印象を誰もが持ったことだろう。 振り飛車は冬の時代に 2018年度が始まる前には二人の振り飛車党がタイトルを持っていたが、7~9月に行われた第59期王位戦七番勝負で振り飛車党の菅井竜也王位(当時)が豊島将之棋聖(当時)に敗れ、今回は久保王将が渡辺棋王に敗れた。 今回の王将戦七番勝負の4局を振り返ると、振り飛車側が有利に進めた将棋は一つも
将棋はコートが狭いし駒の種類も少ないと思う 2倍くらいにして駒ももっと多様にした方が複雑性が増して面白い 単純すぎてイマイチ戦略性にかけるところがあるので、増やしてみたら新しい道が開けそう
2月16日(土)に行われた第12回朝日杯オープン戦で、藤井聡太七段(16)が優勝して2連覇を飾った。 準決勝は行方尚史八段(45)に、決勝は渡辺明棋王(34)に快勝して、圧巻の優勝劇だった。 トッププロの「本気」とは? 準決勝は行方八段戦。行方八段は同棋戦での優勝経験もあるトッププロの一人だ。 振り駒の結果、先手を握ったのは行方八段だった。藤井(聡)七段は相居飛車の後手では追随する指し方を好む。そうなると行方八段には戦法の選択肢が3つあった。 矢倉角換わり相掛かり 行方八段はその中で昔から得意とする矢倉戦法を採用した。 トッププロが格下と対戦する場合、相手の得意を敢えて受けることもある。筆者も四段時代に久保利明二冠(当時)と対戦して負けた際は、こちらの得意戦法を真っ向から受け止められてその強さを実感したものだ。 行方八段が相手の得意を外したのか、いま一番自信を持っている戦法が矢倉なのか、そ
高校生の将棋棋士、藤井聡太七段が、16日に行われた朝日杯将棋オープン戦で去年に続いて優勝し、自身初となる棋戦の連覇を最年少で果たしました。 藤井七段は、去年のこの大会で、佐藤天彦名人や当時二冠だった羽生善治九段などトップ棋士を次々と破って初優勝し、棋戦の優勝の最年少記録を塗り替えました。 決勝の相手の渡辺棋王は、これまでにタイトルを通算20期獲得している実力者で、藤井七段との対局は、公式戦では今回が初めてです。 対局は、それぞれの持ち時間が40分の早指しで、将棋ファンを前に公開で行われました。 後手の藤井七段は次第にペースを握って優勢になり、午後4時52分、128手までで渡辺棋王を投了に追い込み、去年に続いて優勝を果たしました。 藤井七段が棋戦を連覇したのは初めてで、連覇の最年少記録を更新しました。 また、平成19年に始まった朝日杯将棋オープン戦での連覇は、3連覇を果たした羽生九段に次いで
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