IOCのバッハ会長(左)とウクライナのゼレンスキー大統領=2022年7月、キーウ(ウクライナ大統領府提供・ロイター) 東京・西麻布にあるウクライナ大使館の応接室を先日訪れたとき、ロシア軍に徹底抗戦するウクライナの人々を激励する日本各地からの手紙やウクライナの国花・ヒマワリを描いた数々の絵に目を奪われた。 「遠き地ウクライナ 何も知らず生きてきた ごめんなさい 希望を失わないでと願うのみ」。生命力あふれる一枚の絵には、心を込めたメッセージも添えられていた。 館内では、男性外交官の一人が、東部ハリコフ州の病院で母を亡くしながら故郷に戻らず、任務地で母国を支える激務に身を投じていた。戦時下で、「(高度治療を施す)ドイツへ母を移せなかった」。母の死を語るとき、表情には無念がにじんだ。一方、今秋には母国が勝つ、と自らに言い聞かせるように語り、簡単には屈しないウクライナ人の精神を見せ付けた。 ■