今年で72回目となるNHK紅白歌合戦は、1989年の第40回を最後に、幕を閉じようとしていた。同局15代会長の故・島桂次氏がそれを計画したのだ。撤回したのは16代会長の故・川口幹夫氏。紅白の存廃論争の背後には同局の報道畑VS芸能畑の暗闘が見え隠れする。闘争の余波は故・美空ひばりさんにもおよんだ。 【写真】元記者の告白 NHKの「タクシー私的利用」と「受信料名簿のあり得ない使われ方」 「『紅白歌合戦』は今年で最後にしてなくしたい気持ち」(NHK15代会長の島桂次氏)「どんな番組も永遠に生命があるわけではない」(同) 島会長がそう語ったのは新聞・スポーツ紙の放送記者を対象とした定例会見。1989年9月のことだった。 記者たちが「紅白が終わるかも知れない」と色めく一方で、芸能畑の局員たちは苦虫を噛みつぶした。自分たちの仕事を否定されたからだ。島会長は政治記者出身の報道畑だった。 もっとも、島会長