タグ

ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (11)

  • 物理学・生物学的に考えた時、地球外生命体はどのような機能を持っているのか──『まじめにエイリアンの姿を想像してみた』 - 基本読書

    まじめにエイリアンの姿を想像してみた 作者:アリク カーシェンバウム柏書房Amazonこの『まじめにエイリアンの姿を想像してみた』は、書名だけみると小学生ぐらいの夏休みの自由研究みたいだが、実際は動物学者の著者が、生物学、物理学など科学の知識を総動員して「地球外生命体の機能や生態はどのようなものでありえるのか? 逆に、どのようなものではありえないのか?」を考えていく一冊になる。 化学のや生物学ので、一章ぐらいこのテーマに割いているは少なくないが、まるまる一冊地球外生命の生態を考察しているは珍しい。そもそも、「地球外生命体って、誰も見たことがないんだから想像しようがなくない? ソラリスの海みたいなやつだっているかもでしょ」と疑問に思うかもしれないが、世界は物理法則に支配されているわけで、この宇宙の生き物である以上、制約から逃れることはできない。 地球には現状、空を飛ぶクジラのような、

    物理学・生物学的に考えた時、地球外生命体はどのような機能を持っているのか──『まじめにエイリアンの姿を想像してみた』 - 基本読書
  • 技術革新を不平等に向かわせないためには、何が必要なのか──『技術革新と不平等の1000年史』 - 基本読書

    技術革新と不平等の1000年史 上 作者:ダロン アセモグル,サイモン ジョンソン早川書房Amazonこの『技術革新と不平等の1000年史』は、技術革新の歴史を概観しながら、それが経済成長や不平等とどのように関連したのかを解き明かしていく一冊である。 技術革新が起これば生産性が上がり、経済は成長し、新たな雇用が生まれ、回り回って市民の賃金も生活も向上する──一般的にはそう言われてきたが、実際にはそうとは限らない。たとえば近年ChatGPTをはじめとした数々の進歩が起こって生産性も向上したはずだが、生活がよくなっている実感はないだろう。先日厚生労働省が発表した日の毎月勤労統計によると2023年11月の一人あたりの実質賃金は前年同月比3.0%減り、マイナスは20ヶ月連続で、物価上昇に賃金が追いついていない。*1 実は、一〇〇〇年にわたる歴史と現代における証拠から、一つの事実がきわめて明白にな

    技術革新を不平等に向かわせないためには、何が必要なのか──『技術革新と不平等の1000年史』 - 基本読書
  • 索引の歴史は、時間と知識についての物語である──『索引 ~の歴史 書物史を変えた大発明』 - 基本読書

    索引 ~の歴史 書物史を変えた大発明 作者:デニス・ダンカン光文社Amazon主に重要な単語や人名が何ページに出てくるかを示すために巻末についている「索引」。索引はノンフィクションについていることが多いが、これに注意を払う人はあまり多くないだろう。調べ物でもなくただそのノンフィクションを頭から尻尾まで楽しみたい人にはそこまで必要なものとはいえない。実際、僕も読まない方が多い。 しかし何か具体的な目的を持ってあるを読んだり、読み返したりする人にとってはとても重要な存在である。えーとこののフロイトについて言及してる箇所が知りたかったんだけどどこだったっけな……という時に、電子書籍なら検索で一覧が表示されるが紙の場合は索引がなければ最初から読み返す必要があるからだ。 書『索引 ~の歴史 書物史を変えた大発明』は、そんな索引の歴史について書かれた一冊である。僕が日頃読むノンフィクションには日

    索引の歴史は、時間と知識についての物語である──『索引 ~の歴史 書物史を変えた大発明』 - 基本読書
  • 会話にはルールがある──『会話の科学 あなたはなぜ「え?」と言ってしまうのか』 - 基本読書

    会話の科学 あなたはなぜ「え?」と言ってしまうのか (文春e-book) 作者:ニック・エンフィールド文藝春秋Amazon書『会話の科学』は、会話全般に光をあて、そこにどのようなルールや傾向があるかを分析していく一冊だ。我々は会話をしている時、無意識的にそうしたルールを遵守していて、(ルールを)守らないと……とがんばっていることはそうそうないが、書を読めば確かに自分がルールを無意識的に遵守していることに気がつくだろう。 あるいは、会話がうまくいかないと感じている人は、自分が認識していない会話のルールが存在することに気がついて衝撃を受けるかもしれない。ルールや会話の傾向自体は記載されてみれば、「相手が「肯定」を返しやすい質問をする」など「いわれてみればそうだな」と思うものばかりで意外なものはないのだけど、あらためて意識すると、自分がいかに複雑なことを簡単そうにやっているのかがよくわかる。

    会話にはルールがある──『会話の科学 あなたはなぜ「え?」と言ってしまうのか』 - 基本読書
    makou
    makou 2023/04/12
  • 生命の本質を分子間の相互作用の中に見出す新しい分野──『相分離生物学の冒険――分子の「あいだ」に生命は宿る』 - 基本読書

    相分離生物学の冒険――分子の「あいだ」に生命は宿る 作者:白木賢太郎みすず書房Amazonこの『相分離生物学の冒険』は、米国の学会では2018年からよく取り上げられるようになってきた、最新の生物学分野の研究テーマである「相分離生物学」について書かれた一般向けのノンフィクションである。著者の白木賢太郎はこの分野の研究者で、東京化学同人社などですでに相分離生物学の著作のある研究者だ。 相分離生物学とは何なのか。 僕は相分離生物学のことは名前すらも覚えがない(読んだことぐらいはあるのかもしれないけど)状態で読み始めたが、これはおもしろかった。現代の我々は人体を構成する要素についてかなりの部分わかってきている。DNAの解析も進み、どんなタンパク質で人体が構成されているのかも、あらかた把握できているといえるだろう。 では、そうして判明した人体の構成要素をピンセットで並べていったら、素材が完成した段階

    生命の本質を分子間の相互作用の中に見出す新しい分野──『相分離生物学の冒険――分子の「あいだ」に生命は宿る』 - 基本読書
    makou
    makou 2023/03/20
    悪い意味でなく、本来の宗教や哲学の持ち場を連想させる。
  • なぜ一見何の利益もない嫌がらせ行為を行う人間が存在するのか?──『悪意の科学: 意地悪な行動はなぜ進化し社会を動かしているのか?』 - 基本読書

    悪意の科学: 意地悪な行動はなぜ進化し社会を動かしているのか? 作者:サイモン・マッカーシー=ジョーンズインターシフトAmazon最近、仕事中のほとんどの時間は何らかのゲーム配信(最近はLeague of Legends)を垂れ流していることが多い。人気のストリーマーは数千、数万といった視聴者を集める。そうすると、一人用ゲームではない対戦系ゲームを配信で行っている配信者は、少なからぬ「嫌がらせ」行為に遭遇するものだ。 たとえば、配信者がゲームのマッチングを開始したのにタイミングを合わせてマッチング開始し、配信者とマッチングしたらその試合で通常ありえないえないゲームプレイをして負けに導いたり、挑発行為を繰り返したり、Apexのようなバトロワなら配信を見て位置を把握し集中攻撃をかけたりが行われるのである。 そうした悪意あるプレイヤーが、なぜ、自分にとってたいして利益があるようにも思えない悪意あ

    なぜ一見何の利益もない嫌がらせ行為を行う人間が存在するのか?──『悪意の科学: 意地悪な行動はなぜ進化し社会を動かしているのか?』 - 基本読書
    makou
    makou 2023/01/26
    互いを悪意とみなすよねという相対性の話かと思ったら利益を論点にした話だった。
  • 弾圧が行われているとされる新疆ウイグル自治区で、実際に何が行われているのか?──『AI監獄ウイグル』 - 基本読書

    AI監獄ウイグル 作者:ジェフリー・ケイン新潮社Amazonこの『AI監獄ウイグル』は、近年弾圧が激しくなっているとされるウイグルで、実際に何が行われているのか、150人以上のウイグル人の難民、技術労働者、政府関係者、元中国人スパイにインタビュー取材をしその結果をまとめた一冊になっている。 書で描き出されているのは、チャットアプリによるメッセージや電話がすべて監視され、家の前には個人情報が詰まったQRコードが貼られ、身体情報から移動履歴などすべてのデータを元に犯罪を起こす可能性のある人物をAIが自動的にピックアップする「デジタルの牢獄化」したウイグルの姿である。これまで、断片的なニュース情報を読むことでウイグルで相当なことが行われていることはわかっていたつもりだったが、実際に収容所などを体験した人物のレポートはあまりにも衝撃的だ。 読み終えた夜は、自分が強制収容所に入っている悪夢を見たぐ

    弾圧が行われているとされる新疆ウイグル自治区で、実際に何が行われているのか?──『AI監獄ウイグル』 - 基本読書
  • mRNAワクチンを接種した人全員に読んでもらいたい、ワクチン開発の奮闘を描き出す一気読み必至のノンフィクション──『mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来』 - 基本読書

    mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来 作者:ジョー ミラー,エズレム テュレジ,ウール シャヒン早川書房Amazon政府によると、日の新型コロナウイルスワクチン接種回数は1億9800万回、2回の接種を完了した人は総人口の77%と数字が出ているが、書『mRNAワクチンの衝撃』はそうしたワクチンの中でもビオンテック・ファイザー社によるワクチンがどのように開発され、世界に行き渡ったのかを描き出す迫真のドキュメントだ。 まだワクチンが出回り始めて十分な期間があるわけでもなく、これほどの速度で刊行される(原書も刊行されたばかり)は中身が速度の犠牲になっていることも多いので読み始めはそこまで期待していたわけではなかったのだが、書はまるで何年も準備をしてきたかのように中身が詰まっている。面白すぎて一気読みしてしまった。 ビオンテックはまだ多くの人が新型コロナウイルスの危険性を認識し

    mRNAワクチンを接種した人全員に読んでもらいたい、ワクチン開発の奮闘を描き出す一気読み必至のノンフィクション──『mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来』 - 基本読書
  • 数学概念が人類に生まれつきそなわっていないことを示す、数と言語人類学──『数の発明――私たちは数をつくり、数につくられた』 - 基本読書

    数の発明――私たちは数をつくり、数につくられた 作者:ケイレブ・エヴェレット発売日: 2021/05/08メディア: 単行 はじめに 数の概念は、生まれつき備わっているものではない 数の概念がないなんてことがあるのか? 1〜3 おわりに はじめに 『ピダハン──「言語能」を超える文化と世界観』という、左右や数字の概念を持たない珍しい言語の持ち主であるアマゾンの少数民族について書かれたノンフィクションがある。この、少数民族の話ながらもそこからチョムスキーの言語能否定の話や、幸せとは、文化とは、宗教とは、といった話に繋がっていく普遍的な話を展開しており、そのユーモア溢れる筆致もあって世界的に話題になっていった。 今回取り上げたい『数の発明』は、その『ピダハン』の著者ダニエル・L・エヴェレットの息子、ケイレブ・エヴェレットによる著書である。親子揃って言語学者とは凄いが、ケイレブは父親であ

    数学概念が人類に生まれつきそなわっていないことを示す、数と言語人類学──『数の発明――私たちは数をつくり、数につくられた』 - 基本読書
    makou
    makou 2021/05/12
    0以外の数も発明だったわけか。おもしろーい。
  • 孤独な少女の人生を描く、全米500万部の話題に劣らぬ内容を伴った超ベストセラー──『ザリガニの鳴くところ』 - 基本読書

    ザリガニの鳴くところ 作者:ディーリア・オーエンズ発売日: 2020/03/05メディア: 単行(ソフトカバー)この『ザリガニの鳴くところ』は著者ディーリア・オーエンズが70歳になってはじめて執筆小説であると同時に、またたく間に全米500万部、2019年のアメリカでもっとも売れた作品となった、湿地の少女を描く文学・ミステリィ小説である。 正直言って売上がどれだけ凄かろうがまったくおもしろみを感じない、というケースは往々にしてあるわけで、売上がなんぼのもんじゃい!! と(売上何万部と帯とかに書いてあるについては)謎の気炎を上げながら読むのだが、作に関してはよくもまあこんな作品がそんだけ売れてくれたなあ、と感謝をしたくなるようなである。端的にいって、とても美しく残酷な風景が描かれていて、とてつもなくおもしろい。 湿地で一人孤独に住まう少女の人生を追いながら、そこで起こった殺人事件の犯人

    孤独な少女の人生を描く、全米500万部の話題に劣らぬ内容を伴った超ベストセラー──『ザリガニの鳴くところ』 - 基本読書
    makou
    makou 2020/03/09
    https://www.goodreads.com/book/show/36809135-where-the-crawdads-sing 何かに寄せたタイトルかと思ったら原語もそうなのね。
  • 共感しない方がよりよい結果を得ることができる──『反共感論―社会はいかに判断を誤るか』 - 基本読書

    反共感論―社会はいかに判断を誤るか 作者: ポール・ブルーム,高橋洋出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2018/02/02メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る他者にたいして共感するのはいいことだと思われている。ひどいめにあった人をみて、強く感じ入り、そのつらさを共有する人は、一般的には善良な人だ。より多くの人がもっと他者に共感するようになれば、他者に暴力をふるったりすることもなくなるのではないかという考えもある。”もちろん、共感には利点があるけれども”、しかし全体を通してみると害も大きい。単純化すれば、それが書の主張となる。 私自身も、かつてはそう考えていた。しかし今は違う。もちろん共感には利点がある。美術、小説、スポーツを鑑賞する際には、共感は大いなる悦楽の源泉になる。親密な人間関係においても重要な役割を果たし得る。また、ときには善き行いをするよう私たちを導くこと

    共感しない方がよりよい結果を得ることができる──『反共感論―社会はいかに判断を誤るか』 - 基本読書
    makou
    makou 2018/02/04
    「共感によって行動が(時に暴走して)誘発されるのは人間それ自体の欠陥」
  • 1