引張-圧縮、圧縮-引張のように、変形途中で負荷方向が反転するときなどに観察されるバウシンガー効果について解説する。 バウシンガー効果とは ある方向に予変形を受けた材料に対し、一度除荷したあと再び同じ方向に負荷を与えた場合、再負荷時の降伏応力は除荷前の応力とほぼ同等になる。 引張-除荷-再引張の場合は下図のようになる。 しかし引張-圧縮のように負荷方向が反転する場合には、再負荷時の降伏応力が低下する現象が発生する。これをバウシンガー効果(Bauschinger effect)という。 引張-圧縮試験の応力ひずみ線図をみてみよう。 材料に引張荷重を与え、約10%変形させた後に圧縮荷重を与えた。 反転直前の応力を\(\sigma_1\)、反転後の降伏応力を\(\sigma_2\)とすると $$|\sigma_1|\gt|\sigma_2|$$ となる。 等方硬化材料であれば、変形経路に依存して降