「自ら学習するマシンを生み出すことには、マイクロソフト10社分の価値がある」。米マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏は、今から10年前の2004年にこう語った。ついに、その時は来た。米グーグルや米アップル、米フェイスブックといった先進IT(情報技術)企業は今、コンピューターがデータの中から知識やルールを自動的に獲得する「機械学習」の技術を駆使し、様々なイノベーションを生み出し始めている。これらは来たる「機械学習革命」の、ほんの序章に過ぎない。猛スピードで進行する革命の本質に迫る。
お会いするのは何年かぶりだから、さすがにちょっと老けたかなと思った。でも、せっかちに歩く姿も、甲高い声で熱く語る姿も、昔とちっともかわらない。「1993年からだから、ずいぶん長いですよね」。そう言われて指を折ってみれば15年。その間に、何度も彼に会い、語り、彼と彼の成果について実に多くの記事を書いてきた。 彼とは、中村修二氏のことである。最初に出会ったとき彼は、地方の中小企業に勤務する一技術者だった。ところが、1年も経たないうちに、カリスマ研究者と呼ばれるようになり、やがて「日本としては初めての企業人ノーベル賞候補」と目されるようになる。その彼から「会社を辞める」という連絡をもらったのは、1999年末のこと。地方企業の技術者から米有名大学の教授へと転身し、一躍全国区のヒーローになった。 その彼が古巣の会社からトレードシークレットで訴えられ、その反訴というかたちで、いわゆる「中村裁判」が始ま
ITの変化は、ソフトウェアの進歩よりもハードウェアの性能向上と、価格低下による普及によって実現されてきたといっても過言ではないでしょう。今後も想像を超えるレベルで増加していくであろうITの世界にあって、キーワードは「スケーラビリティ」になると予想します。 20年間大きな変化のないプログラミング言語 以前、某雑誌のインタビューに答えているときに「プログラミング言語の領域では、ここ20年革新的な進歩は起こっていない」と発言して、記者の人を驚かせてしまいました。「これだけ進歩の激しいIT業界にあって、20年間にわたって革新的な進歩がないとはいったいどういうことか」という顔をしていました。 前回でも紹介したように、プログラミング言語における革新的な「発明」はLispの周辺で登場してしまっています。進歩しているように見えるのは、最近になってようやく世間が追いついてきて、昔から存在していたものを「再発
大学が決まってライター駆け出しの頃、最初に書いた記事は98 Magazineのコラムで、IE 3.0とブラウザ戦争の足音を告げるものだった。当時はNetscapeの優勢を疑う者はおらず、時代を先取りする記事だったと今も自負している。今年2月でNetscapeブラウザのサポートが終わり、年初からYahoo! Japanのリニューアルでトップからディレクトリが消え、ひとつの時代が終わったと実感した。 気付いたらブラウザもポータルもコモディティ化してしまった。素人目にYahoo!とNiftyとMSNのトップページを見比べても違いは分からない。世界で最も成功しているYahoo! Japanが、どうして好調とはいい難い米Yahoo!のデザインを追っかけなければならないか理解に苦しむが、もはやポータルは将来へ向けた競争領域ではなく、トラフィックを少しでもマネタイズするために広告スペースを大きくすること
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