筑波大学名誉教授 中 川 八 洋 大東亜戦争の真実は、大東亜戦争期の出版物のどこを捜しても、一つの欠片すら見当たらない。理由は二つある。 第一は、大東亜戦争中の出版物は、戦争遂行の戦意高揚以外の、たとえば戦争の核心を抉る冷静で客観的な著作などは、すべて検閲されて出版されることが決してなかったからである。 第二に、そもそも歴史とは、過ぎ去って後に真実が顔を出すのが常で、このようなケースが過半である。いわんや国挙げての戦争の場合、冷静沈着な戦争批判や戦争解剖など困難というより全く不可能であるのは自明ではないのか。 すなわち、GHQの戦時中の出版物に対する市販禁止という(日本国に何一つ害も損も与えなかった)目的定かでない占領行政に、①大東亜戦争の真実を隠蔽しようとの意図など全くなかったことは確度100%で確かである。②また、1945年4月以降の大東亜戦争の末期とは、1937年7月から日本国民の