『シリーズ大学6 組織としての大学 -役割や機能をどうみるか』岩波書店、2013年 まず編集委員の一人である広田照幸が「序論 大学という組織をどう見るか」で書いているように、とかく大学組織を民間企業と同一視して経営改革を求める議論が一般には強いけれども、意外に大学という組織は複雑で階層的な構造を持っているということは案外認識されていない。それぞれの分野の専門家としての教員が居て、その教員達の所属している講座や学部(部局)があって、教授会等の教員集団による機構と学長以下の経営陣とが並列しているという具合に、教員の組織だけでも結構複雑であるということが提示される。 その教員集団に加えて、学生が居り、事務職員が居り、更に大学外から文部科学省や自民党文教族、財界といったところが影響を与えてくるという、大学組織の内外を論じた巻ということになる。 江原武一「1 大学と国家・市場」は、一言で言えば近年の