本書は最近急速に進展しつつある「バイオインフォマティクス」もしくは「計算生物学」という分野の教科書である。 バイオインフォマティクスは生物学に関する情報解析を扱う幅広い分野であり、一冊の本でカバーしきれる分野ではないが、本書は、その中でも中心的な課題であるDNA,RNA,タンパク質の配列解析に焦点を合わせて書かれた本格的な教科書である。 本書はバイオインフォマティクス分野における「定本」の一つとなっている。 ヒトをはじめとする各種生物のゲノム解析計画が急速に進展し、重要な生物のDNA配列が次々に決定し、数十億文字以上の膨大な量の配列データが得られつつある現在、配列の各部分の「意味」を知るためにコンピュータによる情報解析が不可欠となっている。配列解析のためには20世紀後半から様々な研究が行われてきたが、1990年代に入り、隠れマルコフモデルなどの確率モデルにもとづく方法が大きく発展し、主要な