庶民に知られたのは意外にも近世 ここ数年、古地図を片手に街歩きを楽しむ〈古地図ツアー〉が盛況だ。 古地図とは作成年代の古い地図の総称で、江戸・明治・昭和のものがポピュラーだが、休日に個人で楽しむ者もあれば、大手旅行代理店が企画する古地図ツアーの参加者も後を絶たない。 ブームのきっかけは2008年に放送を開始した街歩き番組「ブラタモリ」(NHK)ともいわれるが、当時を想像し、先人に想いを馳せるのは、年齢を問わず楽しいものだ。 そんな古地図が持つ魅力をベースに、1000年も前から東京に住むという架空のキャラクター・妖怪小僧をナビゲーターとして、江戸・日本橋~伊勢神宮までの〈伊勢参り〉の旅を丁寧な時代考証と緻密なカラー画で再現したのが太田大輔氏の新刊絵本『江戸のたび』だ。 前作『江戸のまち』では、江戸城、両国橋、日本橋、品川、高輪、江戸湊、浅草そして四季折々の風景とタイトル通り〈江戸のまち〉にこ