難産の末に誕生した第3次メルケル政権が、新年明けてようやく稼働し始めた。新内閣の抱えた問題、および課題については、昨年12月25日にざっと書いたが、中でも一番困難な問題は、エネルギー政策、つまり、脱原発の遂行である。 産業・エネルギー省の新大臣は、SPD(社会民主党)の党首であるガブリエル氏。氏は、今回のCDU(キリスト教民主同盟)との大連立協議で、敗者SPDにとっては余りある豊穣の実りをもたらした政治家だ。 しかし、その手腕は、鮮やかというよりも、相手の弱みに付け込んだ強引さを感じる。政界は、弱肉強食の世界である。そのガブリエル氏、新内閣では、産業・エネルギー大臣のほかに、副首相も兼ねている。 産業省と環境省の利害衝突で行き詰まった脱原発 そして、彼らの長年の夢がかなって、2011年、福島の事故のあと、ドイツは脱原発を決めた。2022年までにすべての原発を止めるということが決まったのだっ