ゲルマニウムは半導体材料としては比較的融点が低いため、ゾーンメルト法によって半導体として利用できる高純度の単結晶を得ることが比較的容易だったので黎明期の半導体産業で使用された。1947年12月にベル研究所で初めて増幅作用を確認した点接触型トランジスタはGeトランジスタで、それに続いて開発された合金接合型トランジスタもGeトランジスタで1950年代の黎明期の半導体産業を支えた。Geトランジスタは高温に弱く、動作温度範囲の上限が約70℃に制限されるという弱点があったがシリコントランジスタは高温での安定性が高く、約125℃まで作動したので、高温でも安定して作動するシリコントランジスタが主流になったことにより、半導体として使用されるゲルマニウムは主役の座を降りたかに見えたが、近年、シリコントランジスタの高速化の限界が顕在化するにつれてゲルマニウムの高電子移動度が着目され、再び脚光を浴びつつある[5