面白すぎる報告書がある。経済産業省が2018年9月7日に発表した「DXレポート」だ。言うまでもなくDXとはデジタルトランスフォーメーションの略称で今が旬のバズワードだが、役所の報告書にありがちなバラ色の未来を描いたものではない。トーンは暗い。だから非常に面白い。IT活用における日本企業、というか日本企業の経営者の問題点をここまで的確に記した役所の報告書は、今までお目にかかったことはない。 このDXレポートの副題には「ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開」とある。ちなみにここで言うITシステムとは基幹系システムのことだ。ひょっとしたら「基幹系システムとデジタルは何の関係もないじゃないか」と不審がる読者がいるかもしれないが、実は大いに関係がある。そして、この報告書は日本企業の基幹系システムの絶望的な状況に焦点を当てていて、「このままでは2025年までに多くの企業で破局が訪れ