離婚しても、親として子どもの養育に責任を負うことは変わらない。また、意に反して一方の親とのつながりを断たれないことは、子どもの権利である。 それを明確にするために、離婚後も共同で親権を持つ仕組みは検討されていい。ただ、親権は子どものためにあるという根幹の認識が共有されなければ、かえって子どもの権利や利益を損なうことになりかねない。 政府が今国会に提出した民法の改定案は、その懸念を拭い切れていない。衆院で一定の修正がなされた上で可決されたが、参院でさらに議論を尽くすべきだ。 離婚後は父母のどちらかが親権を持つ現行の制度を改め、双方による共同親権を可能にする。父母の協議で合意した場合のほか、合意に至らなくても、家庭裁判所の判断で認めることがある。 虐待や家庭内暴力(DV)の恐れがあると家裁が判断すれば単独親権とするが、DVや虐待の被害は多くの場合、証明するのが難しい。家庭内の力関係から、不本意