現在最も注目される日本人フォトグラファー 写真という文化に於いて、オールドスクールな銀塩写真という概念は、あらゆるものがデジタル化する現代社会の中で、10年ほど前までは失われつつあるものとして捉えられてきた。しかし、プリント雑誌のオーセンティックさと同様に、19世紀、あるいは16世紀から続く長い写真の歴史の中で人々の内側に育まれてきた、「時を切りとり記録する」という行為には、作者の感情や意図というエモーショナルな要素が含まれている。そしてその切り取った瞬間の感情的、情緒的、あるいは個人的で詩的な魅力を最大限に第三者に訴えかけられるのは、不思議とデジタルではなくフィルムで撮影された写真であるのが常ではないだろうか。 世界的に速さと利便性が重視されている世の中だが、ファッションや芸術といった、生活や心にに豊かさとゆとりをもたらす分野のクリエイティブに於いて求められるのは、見る者の想像力に訴えか