ユーロ圏経済の先行きをめぐって厳しい見方が広がっている。米国の金融サービス業「S&Pグローバル」発表の製造業の購買担当者景況指数(PMI)は、景気動向を敏感に反映する指標の1つだが、8月はドイツ、フランス、イタリア、スペインの主要4カ国で、いずれも好不況の分岐点とされる50を軒並み下回った。 悲観論が勢いを増している大きな要因は、足元の天然ガス価格の上昇だ。欧州市場で天然ガスの指標価格とされるオランダTTF先物(9月限月)が、8月下旬、ロシアによるウクライナ侵攻直後の今年3月以来の1メガワット時あたり300ユーロ台乗せとなった。 物価上昇のリスクが高まるユーロ圏 今回のガス価格急騰劇のきっかけは、ロシアの国営天然ガス会社「ガスプロム」がメンテナンス作業を理由に、ドイツと結ぶパイプライン「ノルドストリーム1」を通じたガス供給を8月31日から9月2日まで一時的に止めると発表したことである。 「