昨年8月、ベルギーのシント・トロイデンへ移籍した岡崎慎司は、本来のFWではなく、中盤を主戦場にしながらも、ほぼすべての試合で先発出場を続けている。同クラブの林大地や橋岡大樹といった若いチームメイトとともにW杯の日本代表戦を見ていたという岡崎は、ベテランの自分とは異なる彼らの悔しさを感じ取れたことが有意義だったと話した。 36歳になったいま、岡崎は現役としてどんなモチベーションでプレーを続けているのか。そして自身もメンバー入りを目指した日本代表の戦いぶりから、何を感じ取ったのか。現在の心境をストレートに言語化してもらった。(全3回の2回目/#1、#3へ) ◆◆◆ ベルギーで見つけた「ストライカーとは違う楽しみ」 ――シント・トロイデンでは、欠かせない戦力としてフル出場が続いています。 「もともとはFWだったんですが、昨年11月くらいから、中盤での起用が続いています。インサイドハーフというポジ
木崎 よく0-1で済んだな、という内容でしたからね。ペナルティエリア内で何度もシュートを打たれましたし、ムシアラにも決定機がありました。オフサイドになったハバーツのシュートが決まっていたら後半のプランが崩れていた可能性がある……。 飯尾 だけどこのチームがすごいなと感じたのは、ドイツ相手に森保監督、選手たち全員が「前半終了時点で0-1ならOK」と思っていたという点です。普通の感覚なら“1点取られた時点でアウト”となるはずなのに、よほど自信があるんだな、と。 木崎 たしかに「0-1ならOK」と思っていたからこそ、前半に失点しても慌てずに乗り切り、後半の逆転劇が生まれた。ドイツ戦、森保監督最大の功績は「90分における戦術運用」という戦略だったと感じます。前半の4バックから後半に入って3バックに変更しました。 このようなシステム変更自体はよく見ますが、戦い方が「弱者のサッカー」から「強者のサッカ
飯尾 いやいや(苦笑)。ただ大前提として説明しておきたいのは、僕と木崎さんは立場や視線は違うとはいえ、ほぼ同じ時代の日本代表を見てきました。その取材のベースで共通するのは「日本サッカーがもっと強くなるために」という思い。その中にあって僕は、選手たちを取材する一方で、森保監督に関しては、どういう考えでチームづくりを進めていこうとしているのかの取材を進めていった。そのうえで、独自のルートで情報を得ていた木崎さんとも意見交換、情報交換をしながら全体像を描いていたんです。 木崎 たしかに今大会については、2006年ドイツ大会(※グループステージで敗退)の二の舞は避けたいとは思っていました。当時、W杯最終予選中から「ジーコ監督は戦術が乏しい」と聞いていたんですが、僕は記事には書けなかった。もし事前に批判していたら結果が変わったのではないか……という後悔が残ったんですね。今回も仮に結果が出なかったとき
飯尾 グループステージ3試合の話に通じるけど、ドイツ戦やスペイン戦のような1点ビハインドだったら勇気を持って仕掛けるしかない。だけどコスタリカ戦やクロアチア戦では、それができなかった。森保監督はこの4年間のテーマとして自主性・主体性を挙げていたけど、さらに次に進むためには「攻撃のデザイン」とともに「リスクをかける勇気」というものが浮き彫りになったのでは。「リスクを冒せ」とはオシムさんがよく言っていましたが、“ドイツ戦で掴んだ勝点3”や“クロアチア戦でもぎ取った先制点”というように守るものができた時の弱さを振り払わないといけない。 ――確かに過去6大会のW杯を振り返っても、“早い段階で先制しながらも逆転負け”で一気に崩れた試合があります。06年ドイツW杯オーストラリア戦(●1-3)、14年ブラジルW杯コートジボワール戦(●1-2)などです。 飯尾 言ってしまえばロシアW杯ベルギー戦(●2-3
――ドイツ戦では後半から3バックに変更し、その後、3バックは主戦システムになっていきました。森保さんは「3バックはいつでもできる」とおっしゃっていましたが、この4年半でスタートから3バックで戦ったのは、19年の6月の……。 森保一(以下、森保/敬称略) トリニダード・トバゴ戦とエルサルバドル戦、あと20年11月のパナマ戦ですよね。 ――当時、それほど機能したようには見えませんでした。あとは20年10月のカメルーン戦で後半からやったり、9月シリーズやW杯直前のカナダ戦で試合終盤にやっただけ。だから、オプションにはなり得ても、主戦システムになるとは思えませんでした。それなのに、W杯では3-2-5のような形で前からプレスをかけたり、後ろからビルドアップしたり。あるいは、状況に応じて5-4-1にしてブロックを組んだり。なぜ、機能したのでしょうか。 森保 それはいい選手がいたからだと思います(笑)。
先日、2026年W杯までの“続投”を発表したサッカー日本代表・森保一監督(54歳)。東京五輪代表チームの立ち上げから5年、その戦いぶりを現地取材してきたスポーツライター飯尾篤史氏が、多くの批判を受けながらも信念を貫いてきた勝負師の本音に迫った(全3回の1回目/#2、#3へ)※インタビューは2022年12月28日の続投会見の前に行ったものです。 ――先日、ある日本人監督の方がこんなことを話していました。「日本代表監督になるのが目標だったけど、自分には無理だな」と。「あれだけ批判され、重圧が掛かって、一筋縄ではいかない選手たちを束ねたうえで、あの舞台で結果を引き寄せるなんて、自分にはできそうもない」と。 森保一(以下、森保/敬称略) でも、責任という意味ではクラブの監督も代表チームの監督も変わらないと思いますよ。クラブの監督だって、もちろん批判に晒されますし。 ――でも、注目度や批判の量は全然
先日、2026年W杯までの“続投”を発表したサッカー日本代表・森保一監督(54歳)。東京五輪代表チームの立ち上げから5年、その戦いぶりを現地取材してきたスポーツライター飯尾篤史氏が、多くの批判を受けながらも信念を貫いてきた勝負師の本音に迫った(全3回の3回目/#1、#2へ)※インタビューは2022年12月28日の続投会見の前に行ったものです。 ――改めて、日本代表が次のステージに行くために必要なことは何だと思われますか? 森保一(以下、森保/敬称略) ボールを奪ったあとのプレスの回避という部分で、もっとボールを握れるようにしないといけないですし、粘り強く戦えたことは良かったですが、自分たちが試合をもっとコントロールできるようにならないといけない。守備においても、ドイツ戦の後半のように自分たちからアクションを起こしてボールを奪いにいくクオリティをもっと上げなければいけない。 あと、一番は個の
いきなり反省の言葉「そこは課題です」 その後も、4−2−3−1の左MFで出場した三笘は精力的に攻め続けた。左サイドを駆け上がってクロスボールを上げたり、角度のない位置からGK強襲のシュートを打ったりと、危険なプレーで相手ゴールを脅かした。前半35分には、攻撃参加で前線に駆け上がった左SBペルビス・エストゥピニャンにスルーパス。エクアドル代表DFのクロスボールは相手のオウンゴールを誘い、チームの2点目につながった。 三笘は後半も手綱を緩めず、クロスに合わせてヘディングシュートを打てば、マーカー2人をかわして速い弾道のクロスを入れたりと、積極的な仕掛けでチャンスを呼び込んだ。ファイナルサードで大きな存在感を示し、ブライトンで初の先発フル出場を果たして3−1の快勝に貢献したのだった。 だが試合後、三笘に浮かれた様子はまるでなかった。いつもの試合と同じ様に、まず口にしたのは反省の言葉と課題について
例えば「みなさんがシュミットを使え、シュミットを使えって書いてきたのは知っている」とシュミット・ダニエルの名を出したのは一度ではない。シュミットは9月のドイツ遠征で好セーブを連発するなど結果を出した。この事で「シュミットを正キーパーに」という報道が急増したのは事実だ。しかもシュミットは197センチの高身長で権田より10センチも身長が高く、海外メディアからも注目された。W杯初戦ドイツ戦前はドイツのタブロイド紙であり有力紙でもあるBild紙で、サブであることがわかっていながら、盛大にシュミットの特集が組まれていた。権田はもちろん前回大会まで守護神を務めてきた背番号1・川島永嗣についても言及してきた。「GK陣を一番引っ張ってくれてるのは永嗣さん。昔から日本サッカーを引っ張ってくれていて」と語り、真剣にトレーニングに取り組むその姿勢への敬意を口にする。 キーパー同士ライバルであり仲間である特殊な関
「大迫の落選がチーム全体のモチベーションになるかも」 昼食を食べようと入った地元の飲食店にも、マリノスサポの皆さん。こんな会話が聞こえてきた。 「メンバー発表あった後のヴィッセル戦って怖いよね」 「大迫、悔しさぶつけてくるでしょ。昨日スマホで読んだけど、(酒井)高徳も大迫をフォローするコメントしてたし」 「先週終わった時点で順位的なこと考えればって思ってたけど、大迫の落選がチーム全体のモチベーションになるかもとか……今までの最終節じゃありえないパターンでしょ」 「W杯で言うとタケ(久保建英)の肩、大丈夫なのかな? 一瞬とはいえマリノスいてくれたんだし、離脱とかなってほしくないな」 例年なら“J1残留を決めて今季ホーム最終戦に臨む”くらいのモチベーションだったはずのヴィッセルが、“選外となった大迫のために”というまとまりを見せてきたら怖い、という見立てなのだろう。 今回の発表はJサポーター心
アルゼンチンの優勝で幕を下ろしたFIFAワールドカップカタール2022。クロアチアに惜敗したものの、強豪ドイツ・スペインに勝ってグループリーグ1位で決勝トーナメントに進んだこともあって、FIFA(国際サッカー連盟)が発表した、本選出場32カ国の最終順位で日本は9位となりました。 ライブストリーミング形式インターネットTVプラットフォームのABEMAでもその快進撃が伝えられました。ABEMAでは元日本代表の本田圭佑さんが日本戦4試合で解説を務めましたが、ワールドカップ出場経験者らしい的確な指摘や、説明のわかりやすさ、その一方で心の底からサッカーが好きなことが伝わるような熱さも見え隠れして、好評だったようです。 W杯解説・本田圭佑さんの「さん」付けが話題に 本田さんが、解説の際に現役選手のことを「さん」づけで呼んでいたことも話題になりました。「三笘さん」「鎌田さん」「堂安さん」といった具合に、
コクヨ株式会社 ワークスタイルコンサルタント エスケイブレイン 代表 1969年神戸市生まれ。1992年文房具・オフィス家具メーカーのコクヨに入社。オフィス設計者になるが顧客対応が下手すぎて、上司や営業に怒られる日々が続く。常に辞めたいと思いながら働いていたが、5年後、コクヨがフリーアドレスを導入したことをきっかけに「働き方とオフィスのあり方」を提案する業務に従事し、ワークスタイルを調査、研究する面白さに取りつかれる。以来、行動観察、デザイン思考、ロジカルシンキング、リーダーシップなど、働く人の創造性と生産性を向上させるスキルやマインドの研究を続け、これまでにビジネス書を当書籍を含め10冊出版。常にメモを取りながら、自由で豊かな働き方を実践するためのアウトプットを続けている。 コクヨにおいても、顧客向け研修サービス、働き方改革コンサルティングサービスの企画など数多くのプロジェクトマネジメン
日本が目指す方向性として、クロアチアはひとつの参考になるのではないかと思います。 カタールから帰国した選手たちと、メディアの仕事などを通じて話をする機会がありました。彼らに言わせると、「クロアチアが一番イヤだった」そうです。その理由は、「分かりにくかった」からです。 選手が感じた「分かりにくさ」を違う言葉に置き換えると、「戦い方の幅がある」ということになります。日本戦のクロアチアは、「手を替え品を替え」の「手数」と「品数」が圧倒的に多かった。それに対して日本は、どちらも少なかったと思います。流れを引き寄せられるのは、最大値を出せる瞬間に限られました。最大値を発揮したその瞬間にドイツやスペインからゴールを奪い、勝利をつかみ取ったのは本当に素晴らしかったと思います。 クロアチアがブラジル戦で見せた“戦い方の幅” 日本を破ったクロアチアは、準々決勝でブラジルと対戦しました。彼らはブラジル相手にも
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