ことしのノーベル経済学賞に輝いたのはアメリカのFRB=連邦準備制度理事会の議長を務めたベン・バーナンキ氏など3人の経済学者でした。バーナンキ氏は2008年のリーマンショックのときのFRB議長。金融政策の実務を取り仕切ったFRB議長経験者への授与は極めて異例です。バーナンキ氏をめぐってはその卓越した金融政策のかじ取りと、副作用とも呼ぶべき、積み残した課題もあります。元議長の光と陰に迫ります。(ワシントン支局記者 小田島拓也 アメリカ総局記者 江崎大輔) 「バーナンキ氏とiPS細胞の生みの親、山中伸弥さんが重なって見える」 こう語るのは長年FRBの金融政策を見続け、アメリカにも駐在経験がある元三菱UFJ銀行のエコノミスト、鈴木敏之氏です。 バーナンキ氏は、「金融システムが壊れると経済全体が深刻な危機に陥る」という考え方を経済理論にまとめ、その理論をもとに危機対応にあたりました。 そして、大胆な