ドキュメンタリー映画『わたしたちに許された特別な時間の終わり』は、駆け出しの映画監督が、プロのミュージシャンとしての夢を追い続けていた友人の自殺と真正面から向かい合い、7年間をかけて完成した作品だ。この映画では、友人の生前に撮影していた日常生活や、彼を慕う後輩との音楽活動をとらえたドキュメンタリー映像と、その後に撮影されたフィクションのパート、さらに映画撮影現場のドキュメントシーンとが複雑に絡み合う。 監督の太田信吾は、岡田利規が主宰するチェルフィッチュの舞台に参加するなど、俳優としての顔ももち、監督するこの作品のフィクション部分では自ら出演もしている。普段は演出家として俳優・太田信吾に接している岡田利規は、彼の映画をどのように観たのか。二人による初めての対談が実現した。 太田くんの演技は映画的でもあるんだけど、映画も舞台もどっちもこなす器用な人というのではなく、ひとつの演技がどちらでも通