福島県内の高校球児たちが、来月13日開幕の全国高校野球選手権県大会を控えて練習不足に不安を抱えている。 東京電力福島第一原発の事故による放射性物質対策として、練習でスライディングを禁止したり、降雨と共に校舎内に駆け込んだりと、思い切った練習ができなかったためだ。一時は県外のチームを練習試合に招待して、断られた高校もある。(阿部雄太) 福島第一原発から北西約60キロの福島県伊達市にある保原高校。ノックや打撃練習を終えた野球部員たちが、マスク姿でグラウンド整備にとりかかった。「少しでも放射性物質を吸い込まないようにしています」と、長沢敏浩監督(39)は複雑な表情を見せた。 線量計で放射線量を測ると、毎時0・9マイクロ・シーベルト前後で推移。国の暫定基準値(毎時3・8マイクロ・シーベルト)を下回るが、夏の甲子園出場を目指す県大会を前に、例年なら4時間かけていた練習時間は3時間に短縮した。長沢監督