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米国ニューヨーク州の片田舎に、かつて地図上にだけ存在した「架空の町」がある。ところがあるとき、架空だったはずの地名を使った民宿が出現。その後、町の名は消えたが、「現代のおとぎ話」に引きつけられる人たちは後を絶たない。 ニューヨーク市内から北西へ約200キロ。フライフィッシングの釣り場として知られるニューヨーク州ロスコーは、人口500人あまりののどかな田舎町だ。行き交う車もまばらな道を走ると、林や平原の間にぽつりぽつりと民家が並ぶ。道路脇の支柱に小さな看板を見つけた。 「アグロー(Agloe)へようこそ!」 アグローは、地図上だけにあった架空の町だ。 町の図書館長で歴史家でもあるジョイス・コンローさん(74)によると、アグローという地名が地図に現れたのは1925年ごろ。地図製作者のオットー・G・リンドバーグ氏とアーネスト・アルパース氏が、ガソリンスタンドで配布する地図をつくった。このとき、複
執筆者プロフィール ●県道をゆく小型蒸気機関車の計画 相模鉄道は横浜から西へ、大和を経由して海老名に至る24.6キロメートルの本線に加え、途中の二俣川から湘南台に至るいずみ野線11.3キロメートル、これに厚木線(相模国分信号所〜厚木。旅客営業せず)2.2キロメートルを加えた計35.9キロメートルの路線をもつ私鉄で、全国に16ある「大手私鉄」の中では営業キロが最短ながらも輸送密度は高く、平成2年(1990)にその仲間入りを果たした。関東の大手9社の中では唯一東京都に路線を持っていないが、近い将来に東横線やJRとの乗り入れで東京都心へ直通する予定もあり、今後が注目されている。 その相模鉄道も、そもそもの発端は小さな「田舎軌道」であった。当時の想定としては狭い未舗装の県道の端を、土埃を上げながら小さな蒸気機関車が客車1両を牽いてのんびり走るものだ。軌道条例に基づく交通機関であるから、専用軌道
執筆者プロフィール ●成田山新勝寺を目指す鉄道 大手の私鉄は起終点の都市から1文字ずつ採った命名が目立つ。たとえば京浜電気鉄道(東京・横浜=現京急)、京阪電気鉄道(京都・大阪)、阪神電気鉄道(大阪・神戸)はいずれも大都市間のものであるが、京成電気軌道(現京成電鉄)の「成田」は、それらとは趣を異にしている。都市というよりは「成田山新勝寺」であり、都市間連絡線ではなく参詣電車として計画されたのがこの電鉄だ。 成田市といえば現在でこそ13万の人口を擁し、日本の空の玄関というイメージさえあるが、1世紀以上も前の京成電気軌道が敷設特許を出願した明治36年(1903)の成田といえば新勝寺の純然たる門前町であった。町域は現在よりはるかに狭いので単純比較はできないけれど、明治37年(1904)の時点では1313世帯4892人という小さな町に過ぎなかった。しかも東京から京成が敷いた線路は千葉を通らないル
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