平成の江戸前鮨と賞され、連日、食通を唸らせてきた『すし匠』の親方、中澤圭二氏が今年いっぱいで四谷を離れる。来春、ハワイに誕生する新店のカウンターに立つためだ。出発まで半年を切った、今の心境を中澤氏に聞いた。 「さらば、トリ貝。さらば、ハマグリ。先日も、そんな気持ちになりました(笑)」。カウンター越しに握りを出す仕草をしながら、中澤圭二氏は言う。これで今年も終わりという旬のネタに、しみじみ感じ入ったのだという。 創業して26年。多くの食通を唸らせてきた『すし匠』から今年いっぱいで中澤氏は離れる。新天地、ハワイを目指して。 「もう一度、全然違う環境に自分を置いて、自分に何ができるのか試したかった」。最高の鮮魚が日本全国から集まり、舌の肥えた食通が客として訪れる東京。そんな恵まれた街で仕事を続ける自分に、改めて問い掛けたのだという。「職人として今もきちんと考えて仕事をしているか」 そして、同時に