本の紹介 341: 森の力-植物生態学者の理論と実践、 宮脇 昭 著、 講談社現代新書(2013年4月) ISBN978-4-06-288204-0 この道を行けばどうなるものか、危ぶむなかれ。危ぶめば道はなし。踏み出せばその一足が道となる。迷わず行けよ。行けばわかる。(アントニオ猪木、1943- ) 本書は、横浜国立大学名誉教授で85才を越えてなお現役として、4000 万本以上の木を植えてきた植物生態学者宮脇昭氏の自伝、“私の履歴書” である。 第1章から第3章には、著者の若き時代の研鑽(けんさん)と苦闘が描かれる。1960年、ドイツ留学から帰国した著者は、当時の学会ではほとんど知られていなかった 「潜在自然植生」(土地本来の森のこと) の概念を導入して研究を推進する。しかし、当時の日本ではだれからも相手にされず、「ドイツかぶれ」 と批判される。これにめげず、帰国後の10年間、著者は徹底