先日、若い人と話をしていて、ふと、「娑婆っ気」という言葉が口をついて、あれ?と思った。そんな言葉、今の若い人たちは知っているだろうか? きいてみた。案の定である。知らない。知らないからと責めるものではない。そもそも死語ではないかとも思った。 「娑婆っ気」という言葉は死語であろうか? Twitterを検索してみると、まったくないわけではないが、微妙に意味のずれを感じた。軍隊や死後の世界での感覚を指している例があり、ようするに、一般社会とそれ以外の世界、との対比で出てくる用例が多いように感じられた。 辞書を引くと、しゃばけ(娑婆気)に同じとあり、娑婆気はこう説明されている(日本語大辞典)。 〘名〙 現世に執着する心。俗世間における、名誉・利得などのさまざまな欲望にとらわれる心。世間体を飾ろう、みえをはろうとする気持。俗念。しゃばき。しゃばっき。しゃばっけ。 ※消息(1899‐1900)〈正岡子