【読売新聞】 【ロンドン=尾関航也】欧州各地で長く停止していた徴兵制を復活させたり、兵役の対象者を拡大したりする動きが広がっている。ドイツで兵役再開の是非が議論されているほか、すでに再開した国もある。ウクライナ侵略を続けるロシアへの
共同体というものは概して、自分たちの「トップのあるべき姿の文脈」を独自に持っています。 それは血縁だったり思想や宗教的連続性だったりするのですが、これをちゃんと持っとかないと絶対に納得しない奴が出てくる。揉めて共同体がまとまらない。下手すりゃ内乱にもなる。 なので「こういう理由でオレがトップなのである。分かったね」と言う必要があります。 日本の天皇も含め、正当性などは結局は神話でしかないのですが。 今回は最も歴史が古い国の一つである、イランの支配正当性についてまとめます。 1. 王者に付帯される「クワルナフ」Photo by Photo Ginolerhino 2002イランの王は必ず「クワルナフ」というものを宿しているとされます。 クワルナフは日本語に訳すと「光輪」みたいな意味なのですが、時には目に見える形で現れるし、目に見えない場合もある。上記の写真だと、2人の人物が互いに持つ「輪っか
なぜ古代世界には「去勢」の風習があったのか? 去勢された者はどんな存在と見られていたのか? 古代ローマ世界での場合を中心に、イスラエル紙「ハアレツ」の考古学記者が深掘りする。 世界で初めて故意になされた雄の去勢が何だったかは、永久に不明のままだろう。現代の歴史家たちは、去勢は畜産から始まったと示唆している。それは、望ましくない繁殖を減らし、より穏やかで、より肥えた牛や豚を生み出すためだったというのだ。 人間の男性の去勢はどうやら、罰の一種として最初に導入されたようだ。古代の史料は、誰が最初にそれを始めたのかを明快に語っている。これほど倒錯したことを思いつけるのは、女しかいないだろうと──。 ギリシャの歴史家ヘラニコス(前5世紀末に著述活動)は、アケメネス朝ペルシア(前550〜前330年)の王妃アトッサ(在位前520〜前486年)が最初の宦官を生み出したとしている。古代ローマ後期、ローマの住
奈良市にある平城京の跡地から、ちょうど1300年前の聖武天皇即位の儀式を記した記録・木簡が発見されました。 奈良市の平城宮跡の穴から見つかったのは、奈良時代に書かれた木簡、約1000点です。奈良文化財研究所が、去年10月から穴の発掘を始め、木簡を発見。土を洗い流していたところ、「大嘗分」と書かれた木簡が複数見つかりました。 「大嘗祭」とは、天皇の皇位継承にまつわる儀式で、いまの天皇陛下ご即位の際も執り行われました。国や民の安寧や農作物が豊かに実るよう祈る儀式ですが「秘儀」として、その全貌は皇室の外には明かされていません。 今回見つかった木簡は、今からちょうど1300年前、724年に聖武天皇が即位した際の「大嘗祭」に関する記録です。木簡には、聖武天皇の「大嘗祭」の為に運ばれた品々、「炭」や「魚」などの文字が確認できました。 今回の発見は、1300年前も今と同じく「大嘗祭」が執り行われていた考
歴ログは「はてなブログ」での活動を停止します 「はてなブログ」にある「歴ログ-世界史専門ブログ」は2024年3月をもって完全に活動を停止し、noteにコンテンツを移行していきます。 また、noteでは新たな領域のコンテンツ発信を行なっていくつもりです。 歴ログの歩み 「歴ログ-世界史専門ブログ-」は、2014年8月、「はてなブログ」でスタートしました。 当時はネット上にテキストで気軽に読める世界史のサイトは数少なく、エンタメとアカデミックを混ぜたコンテンツには需要があるのではという狙いがありました。 マネタイズだけではなく、社会課題的な目的もあります。私は元バックパッカーなんですが、若い人が海外に関心を持たなくなって内向きになっているなと危機感を感じていました。もっと海外への関心を持ってもらいたいという思いが強くありました。それは今でも根強くあって、10年間発信を続けられた原動力の一つです
世界中の人を虜にする甘いドーナツの誘惑 ドーナツの消費量は世界で増加傾向にあります。 世界のドーナツ市場は2021年で157億8000万ドル(2兆3354億円)に達し、2028年にかけて年間3.4%で成長すると見込まれています。 日本では、かつてはミスタードーナツがどこでもありましたが店舗数が減り、その代わりにコンビニやスーパーで気軽に買えるようになりました。 今回はドーナツの歴史を紐解いていきます。 1. アメリカ人とドーナツ ドーナツの本場・本家はアメリカです。 2020年のアメリカのドーナツ消費者数は2億1002万人。国民の約64%がドーナツを食っていることになります。また、2022年のアメリカのドーナツ市場の規模は75億ドル(1兆1100万円)だそうで、冒頭の数字に照らし合わせると、世界の市場規模の約半分がアメリカにある計算です。 アメリカ人の3分の1以上(37%)が毎月少なくとも
2024年2月5日、フィンランドの老舗ガラスメーカーイッタラが新しく生まれ変わることを発表したのですが、これがフィンランド中で大きな議論を巻き起こしています。 わたしも思うところがたくさんあったので、いったい今何が起きているのか整理して、なるべく中立的な目線からブログを書いてみようと思いました。 まず何が新しくなったのかは、大きく分けて3つと言えると思います。 ロゴ カラー コンセプト 加えて、SNSの過去の投稿は全て消し去られてしまいました。 ひとつひとつ、詳しくみていきましょう。 1. ロゴ Iittala Facebookより引用 Finnish Design Shopより引用 最もわかりやすいのが、そのロゴ。 1956年にティモ・サルパネヴァがデザインしたこのあまりに有名なロゴ(左)は、吹きガラス職人が使う吹き竿と、竿の先の熟せられたガラスの玉をイメージしたものです。 およそ70年
レッドバロンは言わずと知れたドイツの撃墜王、マンフレート・アルブレヒト・フォン・リヒトホーフェン男爵です。一人だけ真っ赤に塗った 愛機フォッカーDr.I に乗り、生涯で80機以上撃墜したドイツの英雄です。軍用機は普通可能な限り目立たない塗装をしますが、リヒトホーフェンの機体だけが真っ赤に塗装され、敵のパイロットたちを動揺させる心理的効果もあったようです。撃墜王として恐れられていた存在なので、赤い機体を見た瞬間震え上がったことでしょう。 リヒトホーフェン のことは、小学6年生の時に知って大変興味を持ちました。ウィーンに住んでいた1973年頃、同じ日本人の知り合いの家族が日本から持ってきていた学習研究社 の小学5年生向けの「科学」に出会いました。そこに連載していた漫画、 平見 修二さん作、 真崎 守 さん作画の「ホモ・ウォラント」に大層感動して、夢中になって読んだ思い出があります。青年が謎の老
銀行や大手企業がウェブ上の顧客対応に用いるAIアシスタントの多くは、女性の名前を持っている。典型例としてあげられるのが、アミーやデビー、インガ、ミア、エリカといった名前だ。 「チャットボット」と呼ばれるこれらのAIアシスタントは大手企業の、顧客対応コストを削減する効果があり、保険業界や通信キャリアでの活用も拡大中だ。調査企業Juniper Researchは、銀行業界がボットの活用でコールセンターの人員を削減し、2023年までに73億ドル(約8000億円)のコストを削減すると述べた。 しかし、多くのボットに女性の名がつけられていることは、ジェンダーのステレオタイプを助長するとの見方もある。職場で女性はアシスタント的役割を果たす、という偏見を助長させるのだ。 アップルのSiriやアマゾンのAlexaなど、ほとんどのAIアシスタントは、リリース当時は女性の声が先にあり、後に男性音声バージョンが
今年読んだ本のトップ10を選びます 2023年度ももうすぐ終わりですということで、毎年やっていますが、今年度に私が読んだ本の中で面白かった10冊というのを選んでみます。 今年読んだ本なので、2023年以前に発売された本も含まれています。あらかじめご了承くださいませ。 また面白かった私のYouTubeチャンネルで紹介している書籍も多く、よろしければそちらも合わせてご覧いただけるとうれしいです。 1. 『越境の中国史』 菊池秀明 講談社選書メチエ リンク こちらは2022年12月初版の本です。 黄河流域、長江下流を中心に語られがちな中国の歴史ですが、特に近代以降、例えば太平天国の乱やアヘン戦争のように、華南の動向から歴史が動くことがありました。本書は特に近現代の華南の歴史から現代中国を読み解く本です。 歴史的に北部中国は政治・軍事の中心で、南部中国は経済・文化の中心でした。一方で特に福建省や広
イスラム法による統治に対する解釈を巡る論争 ごく普通の日本人が持つ「イスラム」や「イスラム教」についてのイメージは 戒律とか教えが厳しそう なんか良く分かんないけど、いっつも戦争やってる くらいの極めて曖昧なものではなかろうかと思います。 ただどっちも半分は合っていて、イスラムの歴史は外敵との戦いは勿論、コーランの教えの解釈を巡って同じイスラム教徒同士で戦い続けた歴史でもあります。 日本では大規模な宗教戦争や国を二分するような論争が起こったことがないため、なぜ解釈の違いだけで殺し合うのかイマイチ想像ができないのですが、当のイスラム教徒にとっては本当に生きるか死ぬかの大問題だったりします。 ということで、今回は「正しいイスラム国家」とは何かを巡る争いの歴史です。 1. ムハンマドの社会改革 神の意志に従う生き方=イスラム的生き方 イスラム教の聖典「コーラン」では、人間は神に絶対的な服従を要求
なぜ宗教ははじまり、なぜ人間に必要とされたのか 『宗教の起源――私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか』ロビン・ダンバー著(白揚社)を読みました。 タイトル通り、なぜ宗教は発生し、なぜ人間は宗教を必要とし、宗教の本質とは何なのかを明らかにしていく本です。 かなり面白かったので、今回ブログでも紹介したいと思います。 1. 人類学や心理学、脳科学から宗教を分析する 本書の筆者はロビン・ダンバー氏はイギリスの進化心理学者、人類学者で、もともと霊長類行動の研究者だった方です。 猿やチンパンジーの研究をする延長線上で、同じ霊長類ということで人間の進化の研究に携わるようになりました。 その中で筆者は宗教がどう人間社会や人間自身の発達に関わってきたのか、そしてなぜ人間には宗教が必要だったのか、という点に関心を持ちました。 本書はこれまでの彼の数々の研究や著作をもとにまとめられた本です。 そのため宗教へのア
Work by Lord Leatherface オスマン帝国の支配に抵抗したアナトリアのベイリク セルジュク朝はアナトリア半島を支配する過程で、トルクマン人を始めとするベイ(君侯)の一族を送り込んで地方の統治を任せました。しかしセルジュク朝の支配が弛緩するとベイは独立をし、ベイリク(君侯国)と呼ばれる国々を形成しました。14世紀~16世紀までアナトリア半島は小国の割拠が続き、最終的にオスマン帝国によって統合されていくのですが、オスマン帝国もこれらの国々の併合にはかなり手を焼いています。 あまり馴染みがないのですが、アナトリア半島の戦国時代とでもいうべき君侯国時代の国々を紹介します。 1. サルハン侯国(1313年~1415年) 奴隷貿易の中心地として栄えた国 サルハン侯国は1290年代からアナトリア西部でサルハン・ベイという人物が設立した国です。 サルハン・ベイはセルジュク朝の先兵として
時には歴史を動かしてきた「雇われ指揮官」 昔も現代でも、戦争は正規軍のみが行うものではなく、国王や領主に雇われた傭兵が戦争で重要な役割を果たすケースが多くありました。 三十年戦争で傭兵団はピークを迎えて、その後は国民国家の正規軍が主力になっていきました。しかし現代でも民間軍事会社という名前で、アメリカの旧ブラックウォーターやロシアのワグネルなどが有名ですが、中東やアフリカで正規軍に代わって主力級の活動をする場合があります。 この記事では歴史上の有名な傭兵隊長を10名ピックアップします。 ※記事の末尾にCodocの「投げ銭」機能を入れています。この記事が面白いと思ったら投げ銭いただけると嬉しいです。 1. クセノポン(古代ギリシア) 故郷を裏切りスパルタに貢献した男 クセノポンは高校の世界史の授業では哲学者・歴史家として学びますが、傭兵隊長として活躍したことでも知られます。 クセノポンはアケ
中世の「金儲けの悪知恵」とは 「楽していっぱい儲けたい」のは人類の永遠の夢であります。 世界史はそんな詐欺師が掃いて捨てるほどいるし、今でも「秒速で数億稼ぐ」とかうそぶくペテン師がもてはやされてしまうのですが、そういう強欲な連中はたいていそれ相応の十字架を背負うものです。一瞬で破産したり、不正取引で逮捕されたり、ライバルとの抗争の挙句殺されたり。 人自身はまったく発達しないわけですが、そのような「強欲さ」がテクノロジーやシステムを発達させてきたことは事実で、 本日のテーマである「為替取引」もそんな中世ヨーロッパ商人の「楽していっぱい儲けたい」思いから発展したものであります。 1. 「利子を取ることは神に対する罪」 1-1. 商業技術の発達 近代資本主義を支える様々な商業技術、例えば銀行や保険、簿記、会社などはルネサンス期の北イタリアで誕生しました。 互いにライバルだったフィレンツェ、ベネツ
イスラエルの勝利とパレスチナ紛争の泥沼化 ぼくは学生の頃にイスラエルとパレスチナに行ったことがあります。 ユダヤ人居住区とアラブ人居住区の気味悪いほどのすみ分け、 パレスチナ自治区を囲って築かれた壁、 パレスチナ側で間違ってヘブライ語であいさつして怒鳴られたこと、 わずか数日の滞在でしたが、常に緊張状態にあることが嫌なほど分かりました。もはやどちらかがどちらかを滅ぼし尽くすまで憎しみの連鎖は終わらないんじゃないか、と思うほど。 ユダヤ人とアラブ人の対立と衝突は、オスマン帝国統治時代のパレスチナにユダヤ人が入植し始めた19世紀から続いてきましたが、周辺の国家を巻き込んだ大規模な戦争になったのは1948年の第一次中東戦争が最初でありました。 これに勝利したイスラエルは割り当てられた領土を死守し、独立国としての地位を高め国際的な名声を上げ、地域の大国への第一歩を踏み出します。 今回は悲劇のスター
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